短編

□葉月の消化バトン
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『黒猫』
(世界は光 僕は闇)

小さな小さな街
僕の目に映るこの世界は綺麗な綺麗な色を持ってる

カラフルな花や
カラフルな屋根

昔どこかの人が残した
『黒猫は災いを呼ぶ』
そんな言葉に虐げられた
なのに
この街は
すんなりと僕を受け入れた

雪が降り積もるこの街を
夜、僕は静かに歩く

僕が居た証を雪に刻みながら
一歩ずつ進む

突然雪の道が消えた
僕が歩いていたその場所だけ
その先に雪は無く
道が在る

何も考えていなかった
この道が僕の運命を変えることも

足が導かれるようにその道を進む
小さな小さな街
さよなら

大きな大きな森に着いた
いつも見ない不思議な景色
雪は無い

何も無い
木しかない
知らない香り
知らない色
知らない景色

突然全てが怖くなった

小さな街小さな街
どこ
どこ
ドコ

僕を追い詰めるように
静かに月の光は微笑んでいる

ああ
ここは
森は
こんなに恐ろしい場所だったなんて

「…空が」

黒い
小さな街の明かりが見える
なのに
走っても走ってもどんどん遠ざかる

消える
消える
キエル?

世界は光 僕は闇
小さな街は輝いてるけど
やっぱり僕は闇だった

闇は光の中で生きれない
闇は光の中に存在してはいけない

昔誰かが言った
『黒猫は災いを呼ぶ』

「…だったら…」

さよなら
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