あ い う ぉ ん ち ゅ ー 。
とか、やっぱり戯れ言以外の何物でもないけど、結局のところそれが本音なんだろね。と、昔いったのは誰だったかな。たぶん俺の大事な人だったと、それしか覚えのない自分に腹が立つのはやっぱり当たり前のことである。その人の名前も、その人の顔も、その人の悲しみも、その人の美しさも、その人の涙も、覚えてない、思いだしたくもないけれど、思い出したかった。
記憶のない空も、記憶のない旅も。息の仕方も笑い方も忘れた僕に彼女をまもることなんかできなかった。心臓の動かし方も、涙の止め方も忘れた僕に彼女を救うことなんかできなかった。つまりは言い訳で、ほんとは貴女が笑ってればよかったのかもしれない。守りたかったわけでも、ましてや救いたかったわけでもなく。結局彼女を奈落のそこに突き落としたのは俺だったわけだ。
息の仕方も心臓の動かし方も忘れた僕と、 笑い方も涙の止め方も忘れた、俺。
何を隠そう結局俺も僕も一緒で、あわせれば結局ふたりして彼女を奈落のそこに突き落としたまでだ。右目からあふれ出た涙について俺が泣くことも、僕が動くこともないのだ。
記憶のない僕と、記憶をしない俺。 何度もいうが二人はやっぱり同一人物。
訳のわからないのは俺も僕も同じで。どうすることが正しいのかを判断できる僕は、一つのアイデアを思いついた。だから動ける俺に伝えることにした。
「あのさ、そこにさ」
「かのじょがくれた、ぼくのたいせつな、かったーがあるから」
「ぼくのくびをきってよ」
にやりと笑った俺は、唯一動く右手を使って頸動脈を思いっきり切った。
誰が押したのかわからないナースコールが鳴り響く。ぼんやり残っていた意識のなか、泣きながらナースコールを押したのが彼女だった気がして。俺と僕は、ふんわりとほほえんだ。やっぱり彼女だった気がした。触れ慣れたやさしくて暖かい手を俺も僕も知っているから。とめどなく涙のあふれ出る右目を、拭いてくれたときにふわり、と漂った香もやっぱり俺も僕も知っている。
「なんでっ…!」
二重人格な俺と僕。 いつも彼女を泣かすのは俺だったのに、今回は僕も泣かしてしまった。ごめんね、笑って、泣かないで、俺も僕も、君が好きだった、よ。ついでにね、俺も僕も、君が嫌いだったよ。ね、泣かないで。笑って。
「もうすぐ、冬だね…。」
ぎぶみーゆー (動けなかった僕達を殺したのは、君だったなんて)
------------------ 意味がわからんwwww
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