お噺

□狒々様と猩影お兄ちゃん
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頭を撫でてくれる手が暖かくて、涙が出てきた。
『やや!お嬢ちゃんどうした!嫌じゃったか!?』
『何泣かしてんだよ親父!』
"狒々様"と"猩影お兄ちゃん"が必死に慰めてくれる。
『うっ…ひっく、嫌じゃないよ、初めて、頭撫でてもらった…。』ホントは山で迷子になった時に気付いてた。お父さんとお母さんに捨てられたんだって。
いつもアタシを叩いてたお父さんとそれを見て何も言わなかったお母さん。
一度も頭を撫でてもらった事がなくて、抱っこだってされた事がない。いつも他の家の子達が羨ましくて遠くで見てた。
『初めて、ひっく、優し、くしてもらった。でも、アタシが悪い子だ、からガマンしな、ちゃいけな、て…。』
涙は拭いても拭いても溢れてくる。言ってることもだんだん分からなくなってきた。
『アタ、シが悪い子だから、ひっく、お父さんにぶたれても、ガマンしなきゃ…うぁ。』
『おぉ!そんなに目を擦ると赤くなるぞ?可愛い顔(かんばせ)が台無しじゃ。』
そういって狒々様が抱っこしてくれた。止まらない涙を優しく拭ってくれ、背中をポンポンと優しく叩いてくれた。
狒々様は暖かくてお父さんが優しかったらこんな感じなのかなぁ。って思いながら狒々様の胸で泣いた。



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