お噺

□狒々様と猩影お兄ちゃん
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ー狒々様視点ー



儂に抱かれて泣いていた女童は泣きつかれたのか寝てしもうた。
可愛い寝顔じゃのう。
『虐待か…。』
猩影が小さくぼやく声が聞こえた。
『そいつを着替えさせた奴は体の至るところに青い鬱血した痣があったって言ってたぜ。山ん中で親呼びながら泣いていたから迷子かと思えば…。』
この女童を拾うて来たのは猩影じゃったな。なんでも妖怪に食われそうになって気を失ったところを助けたようじゃ。
『捨てられた理由は何にせよ、無事で良かったのう。猩影、お前が散歩中で良かったわ。』
しかし、着物の袖や裾から見える痣は痛々しい。
こんなに可愛い女童を捨てるとはこの子の親には呆れるのう。
『猩影、妹が出来るぞ。』
『はぁ!?育てるのかよ!嫌がるんじゃねえのか?』
『大丈夫じゃろ。それに拾ったんじゃ、誰にも怒られん。』
『犬猫じゃあるまいし…。まぁ、親んところ帰しても同じことか。』
『キャハハハ!儂に娘が出来たぞ!娘欲しかったからのう。名はなんと言うんじゃろうなぁ。』

とりあえず、儂の娘になった(一方的に)女童が起きるまで、縁側で茶でもシバくかのう。



ーENDー




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