Clap log REBORN

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「腹減った」
「君は遠慮と言う言葉を知らないみたいだね」
「朝ご飯は?」
「そして人の言葉は無視なのかい!さっきから言葉のキャッチボールが出来ないんですけど!」


猫が猫耳つけた美形な人間になって正直まだ頭はパニックだが
この美形さんのマイペースさを見ていると警戒心なんて薄れてしまう


「…」


ぐううぅぅ


「はい、分かったから無言のままこっち向いて腹の虫を鳴らさないでください」


その綺麗な顔して上目遣いなんてされたら顔が赤くなってしまいそうなのが本音
でも食べ物を用意しないと熱い視線は溶けてくれないようなので
しぶしぶ辺りを見回してみる


「んー、パンとか食べれる?」
「うん」
「牛乳は…飲めるよね、猫だし」


普段朝ご飯なんて食べないから朝から料理するなんて考えられない
というか大事故を巻き起こしかねないので
シンプルに食パンを焼いてマーガリン渡して
ホットミルクでも用意すれば上出来


「どうぞ。」
「ありがと、いただきます」


きちんと礼儀正しく両手を合わせてサクサクと心地よい音の鳴るパンを食べ進めていく
そんな姿をじっと見つめて改めて観察してみても分からないことだらけ
美形だからって家に置く事をOKした自分にも拍手ものだ


「なに?」
「んー?別に、いや聞きたいことはいろいろあるけどさ、とりあえず名前はあるの?」
「スパナ」
「それ工具の名前じゃなかったっけ」
「ウチの名前でもある」
「そう…じゃあ家は?」
「今は野良だ。だからアンタが拾ったんだろ」
「そっか」


さて
完璧にこいつは私の家に居座るつもりらしい
なんだ、猫だからトイレ用の砂でも用意すればいいのか?


「んみゃっ…!!」


カップを手にしてホットミルクを口にしたスパナは
不意に猫の高い声を出した後
すごい勢いでカップをテーブルに置く

「えっなに、なにがあったの?」
「熱い…」
「んな大袈裟な」
「ウチ猫舌なんだ…」


よほどミルクが熱かったのか
うっすら涙を浮かべながら舌を口から出して熱を冷やしているみたいだ
あれっ
ちょっと待ってよ
今心臓がドクドクなってるんですけど
ときめいちゃってるんですけど


「ごめん…今度から気をつける」


なんだこの可愛い生き物はぁっ!!
しかもパンクズボロボロこぼしやがってっ
尻尾で隠すな!


…ぴちゃぴちゃ


「もう熱くない?美味しい?」
「うん、甘い」


カップに顔を埋めてミルクを嬉しそうに舐めるスパナ
普通には飲めないのかな
それとも癖?


猫舌に熱いものを与えないでください
(猫なの?人間なの?)(猫だけど人間)
(冷えたでしょ、ミルク温めてあげようか)(やだ)

(思えばこの部屋に私以外の温もりがあるのは久し振り)






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