TEXTU-たたかえ!白血学園-

□世界中の豚なんか僕が食べたげる!
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豚なんかキライ。


大きなキャリーバックに、

顔いっぱいを覆うマスク。

見慣れた通りをずんずんと進んでいく。


今朝、突然の集会があって、全校生徒の帰省が決まった。


全寮制の中等部、高等部の生徒たちはみなあわてて荷造りをし、大きな鞄を抱えてそれぞれの家に別れていった。


チュウとも、学校の門で別れてしまった。


今日から、チュウに会えない一週間。


はっきり言って、暇すぎる。


ドスドスと道を歩く、マスクの下のマクロの顔はむっすりとしていた。


それともう1つ、家に帰りたくない理由が…


ガチャ、

「ただいまー。」

「あれー、マクロ?おかえり?」

「…!!」


玄関を入ってすぐのトコロ、いきなりの最悪なお出迎え。

笑顔をマクロに向けつつも、床に弟を組伏せ、服を脱がしにかかっているのが長兄、スイホ。現在二十歳の大学生。

そして服を掴まれ、床に転がる半泣き顔が次兄、タン。18歳だが写真家を目指し、現在ぷー太郎である。


この2人の兄が、マクロが何よりも家に帰りたがらない理由だ。


「突然どうしたんだい?」

立ち上がり、そのままの笑顔で話かけるスイホを無視してマクロは自身の部屋に向かう。


「マクロ?だまってたら、お兄ちゃんわかんないよ。」


「……。」

依然、ツーンとしたままマクロは口を開かない。

乱れた格好のタンに虐げるようなキツーイ視線を送っただけだった。

「あっマクロ、お前、
誤解すんなよ!
その…これは別にそう意味じゃねえからな!!」

必死に言い訳をするタンを無視して階段を登ろうとした、マクロを遮るもの。

スイホの腕がマクロの行く手を阻んだ。


「ねー、マクロくん。
お兄ちゃんの話聞いてるー?
君は僕の邪魔をしたんだよー?意味わかるよねー?」

表情は先程までと同じなのに、恐ろしい…

それはマクロ(裏の顔モード)以上の黒いオーラ。

さすが、この兄でこの弟あり、だ。


そこで、やっとマクロは口を開く。

いつもはチュウの前で使う、100万ドルの笑顔を伴って。

「ん〜?
ぼく、おにいちゃんが言ってる意味よくわかんないよぉ。」



あまりにもドス黒いばちばちオーラ。

耐え難い空気の流れる空間。


「お…おい…」


残った一名、タンが耐えられるはずもなく。


「帰ってきて早々ケンカしてんなよ。
マクロは何で帰ってきたかくらい話せよ。びっくりするだろ。

スイ…兄貴は、全体的にてめぇが悪いだろ!」


「誰に命令してんの?おにいちゃん♪」

「いつからそんな口聞けるようになったんだっけねー、タンくん?」


まずった…
と思った時にはもう遅い。

並んだ2人の黒すぎる笑顔は、まさに血の繋がった兄弟。

自分も同じ血が流れてるなんて、信じたくない。


「さぁ、タン兄。
選んでいーよぉ。

ぼくに殺られるかぁ…」


「僕に犯られるかを、ねー。」


ぞくり、背中を伝う冷や汗。本能か今までの経験かわからないが、全身がヤバイと告げる。


(さっきまでケンカしてたんじゃねえのかよ!!)


逃げ出したタンを追い詰める兄と弟は見事なまでのコンビネーション。


そして、結局家はぐちゃぐちゃ。

タンもろともインフルエンザのため早めに帰宅した両親ともにこっぴどく叱られた。



その夜、マクロからチュウに一通のメールが届いた。


『ぼくもチュウの家の子になりたいよ(>_<)』


兄同士が冗談か本気か微妙ないちゃつきをしてるのも、
スイホおにいちゃんとケンカするのも、
タン兄をいぢめるのも、
パパとママに怒られるのもいつものこと。


そんな当たり前の日常なんて、もう全然暇すぎるよ。

メールの届いたチュウがどう返信するか困ったのは言うまでもない。


そんなことを知ってか知らずか、マクロはベッドに入り込む。


チュウと一緒にいられるなら、インフルエンザで入院した方が良かったのになぁ…


なんて不謹慎にも考えていた。


END
 

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