●SS

□【夕焼け色の美術室(前編)】
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放課後の窓から差し込む夕日が美術室内をオレンジ色に染め上げる…










静まり返る室内に










私と、ゆかりがいる










二人きりで…










「少し休憩しましょうか
…飲み物かってくるけど何がいい?」










心がざわつく…










「あ、それなら私買ってきますよ…先輩待ってて下さい」










そう言って部屋を後にしようとするゆかりの腕を私は無意識のうちにつかんでいた…











「先…輩…?」










ゆかりは不思議そうな困ったような表情を私に向けた









離さなきゃ…










離さなきゃ…変に思われる…










離さなきゃ…










「先輩…腕が…痛いんですけど…」










ハッ、と我に帰る、どうやら私は考え込むうちにゆかりの腕を強く掴んでいたらしい…










「あ…ごめ…ごめんなさいゆかり…やだわ私ったら少しぼーっとしていたみたい…」










「本当に大丈夫ですか?どこか具合が悪いとか…ないですか?」










「本当に大丈夫よ…ごめんねゆかり…」










本当に?とでも言いたげなゆかりは私を覗き込む…











心配してくれる可愛い後輩









そして信頼できる刃友










だと思っている










思っているのに…










私は










今まで今この瞬間までそう思っていたはずなのに……










一秒後私は…










ゆかりの










唇を奪っていた…











つづく
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