乙女の部屋

□☆ふたりの唄
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「…はぁ…ちょっと疲れた」
「根を詰めすぎじゃないか?」





昼休み、バカサイユで作詞をしていた
清春たちが教室でなんかまたやらかしてたから、静かな場所をと探してたところ



『…バカサイユなら今静かだろうな』




と、七瀬瞬君が私に告げてくれた
翼くんから既に、バカサイユに自由に出入りしていいという許可をもらってはいたけど
一人でいくのはやっぱり気が引ける
悠里先生の気持ちは大いに納得だわ
「ほら、一息いれろ」
「あ、ありがとう瞬君」



私の書く詩を、彼は気に入ってくれた
時々、瞬から詩を書いてほしいと頼まれたりしていた




「あ…ごめん…間違えた
「なにがだ?」
「またイメージ違いだわ…キーが」




私のよくやるミス
声をイメージしながら書く癖があるため
曲を聞きながらでないとまたに、歌い手のキーを間違えてしまう




「…ダメなのか?この詩は…俺は悪くないと思うが」
「でも…キーが…女の子のだし…」
「フッ…なら…これは光が歌うか?」
瞬君…気持ちは嬉しいけどダメだよ



「芙巳さんの殺意に満ちた視線と言葉でノイローゼになりそうな予感」
「…まあ…確かにそうなりそうだな」
「もう一回書き直さないと」



そういって、歌詞を書いた紙を破ろうとすると…




「まて、その詩…俺がもらう」
「え、でも…次の新曲に使えないよ」
「さっきも言ったが俺はこの詩…いいと思う
というより、気に入った…投げるのも勿体無い
だから…俺がもらう」



真剣な眼差しで、瞬君はそういった
私の詩…気に入ってくれたことだけでも嬉しいのに




「わかった…じゃあこれは瞬君にあげるね」
「…ああ」



嬉しくて胸が弾む思いでいっぱいだ



「…でも、書き直しには変わりないのよね」



どよ〜んとテーブルに項垂れる
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