乙女の部屋

□☆ふたりの唄
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「そう落ち込むな…まだ発表まで時間はある」
「…でも、出来るだけ早くできた方が練習も多く出来るでしょ?」



大丈夫だって顔で私を見つめてくれる瞬君
なんか本当に申し訳ないわ




「光…そこまで考えてくれてありがとう」
「瞬君が大事にしてるヴィスコンティ、私のせいでめちゃくちゃにしたくないもの」



貴方が大事にしてるものだから



片思いだけど
大好きな貴方の夢
一緒に見れたら




「ヴィスコンティも俺も…十分、お前に大切にされてる」



瞬の腕がテーブルに伏せてた私を起こし、そのまま抱き寄せられる




「瞬…君?」
「…いっそのこと、マネージャーになるか?」
「え?…私がマネージャー?」
「アンタなら、俺は構わない」




嬉しい申し出
けど



私の頭に過るのは、芙巳さんの存在
初めて会ったときから敵意を持たれてるから尚更かな




最近は、瞬君と一緒に居ることも増えたし
瞬君からライブ前に楽屋に来てくれと頼まれるようになったから憎さも倍増してる気がする



「一応言っておくが…俺は、光だけしか女として見てないからな」
「…ふぇっ?」




思いがけない言葉に、変な声を出してしまった



コーヒー飲んでなくてよかった




「芙巳か光を選べと言われれば…光を選ぶ」
「瞬君…でも私、芙巳さんの代わりは出来ないよ…ドラム」
「光の代わりだって芙巳には出来ない
楽器が引けなくても、お前にはヴィスコンティを守ろうとする気持ちは芙巳よりも強い
ドラムの代わりは探せるが…光の代わりは探せない」
「…瞬君」
「アンタは…俺が守るから…」



瞬君の大きな手が
私の髪を優しく撫でるたびに
ドキドキする
まさか、思いを寄せてる人からこんなことを
言ってもらえるなんて






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