読み切り小説

□最初に見たのは
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※これはお題の、最後に聞こえたのはの続き的なものです

先にそちらを見る事をオススメします

見ていただいた方はどうぞ!










「もうヤダ…死にたい…」

「何言ってんだよ!死ぬなんて言うな!」


「でも…みんな私にいじわるするの…っ、何で?」


「……あのさ、瑞希は何でだと思うの?」


「み、みんな…私が嫌いだから…?」

「違うよ」


「え?」

「みんな瑞希が大好きなんだ!だから瑞希に話しかけられると恥ずかしくて無視しちゃう」

「…そんなの…」


「ホントかどうかは分からないけど、そう思えば楽だろ?」


「……へへっ。アンタって馬鹿だね」

「ぽじてぃぶって言ってよ!」



「…じゃあさ、普通に話してくれるアンタは、私の事嫌いなの?」


「え?…俺は…」








―俺は―



「っう…ひくっ…」


「………」


誰かが泣いてる?

一体誰が…


「嫌だよ…一人は嫌…!
戻って来てよ!」

(この声…さっき屋上で聞こえた…)




さっきまで聞いていた声だ

さっき…それは屋上に居たとき… 


違う…ついさっき



なぁ、何で…

「何で泣いてんだよ」

目を閉じたまま、泣いてる"誰か"に問いかける


「っっ!!!」


やっぱり。この声の主は…


「お前が助けてくれたのか……瑞希

あの幼なじみの声


「…十分に時間稼ぐ前に落ちちゃった…」

「でも俺、生きてるよ」


「ギリギリで呼んでた救助隊が来てて…」

「…そうか」


"アンタ、何でこんなに不幸が起きたんだたと思う?"



「ふふっ…」

「何笑ってんの…ホントに心配したんだよ!!」


ベッドをどんっと叩き、幼なじみは言う

いつもの余裕たっぷりな態度はどこに行ったんだか


「だからって、世界が俺を大好きだからってのはどうかと思うよ」


「っ…だって、ああ言うしか…」

「でも…」


でも、これからお前と生きれるなら


「お前と一緒なら、こんな世界も悪くないかもな」

「!!」


まだ痛む体を無理矢理起こして、幼なじみを抱き締めた


「っあ…あぁ」


「また泣くのか?」


やっと目を開けた俺が最初に見たのは

泣きそうな顔を真っ赤にした、愛しい幼なじみの顔だった




「…じゃあさ、普通に話してくれるアンタは、私の事嫌いなの?」

「え?…俺は…」




大好きだから、傍にいるんだ


―矛盾?どんな意味だっけ?―




〜fin〜



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