質問・お題
□最後に聞こえたのは
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ヒュウウゥゥ…
風の音がやけに大きく聞こえる
髪をなびかせる風が、いつもより強く感じる
「何でだろうなぁ」
まぁ、答えは簡単か
「屋上に居るからだよな…」
ここは高層ビルの屋上。いやぁ眺めが良い
人と車が行き交う道路を見下ろしながら、俺は深くため息をついた
「俺がこんなに苦労してる間にも…」
あの人たちは笑ってられるんだな
フッ…
何故か笑みがこぼれた。こんな状況で笑ってられるって事は…
『まだまだ余裕みたいだね』
「そうみたいだねぇ」
『あれ、ツッコミは無し?』
今まさに俺が思ってた事を口にしたのは、場にそぐわない能天気な声
それが誰の声かなんて、もうどうでも良い
知る必要は無い
『アンタさぁ、何で飛び下りようとしてるの?』
「そうだなぁ…俺の勤めてた会社が経営破綻して、職を探すも一向に見つからず、しかも一昨日家が火事になりましたとさ。
まぁこんなトコだな。俺の人生のあらすじは」
『へぇ。それは大変』
自分で言ってて虚しくなる
立て続けに起こった不幸。ポジティブに言えば、人生の不幸を使いきった…って感じ
でも…
「もう生きたくないなぁ」
いくらこれから不幸が起こらないからって…もう生きていたくない
生きる意味が見出だせない
『…アンタ、何でこんなに不幸が起こったんだと思う?』
「そうだなぁ…強いて言うなら」
続きを言おうとした所で…一層強い風が吹いた
狭い足場に立っていた俺の体は、強風によって外へ傾いた
そして……
「俺が世界に嫌われたからかなぁ」
『――――!!』
あぁ…さっきの人が何か叫んでるような…
でも…もう良いや
そう思う俺の体は
ビルの下へと落ちていった
世界に嫌われた僕に
(生きている価値なんてない)
〜fin〜
お題提供サイト様
◇pure tear◆
管理人:星蘭さま
なんかよく分からない事にww
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