ポケ擬小説

□日没大繁盛!
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「予想外に凄い人だな…雷光、迷子になるなよ」
「おまえこそ、迷子になるなよ!」
「…雷光、何か食べたいものは無いか?」
「え? …フランクフルト…とか?」
「よし、ならば私が買ってやろう。フランクフルト、1本」
「おぅ、らっしゃい! 1本300円だよ!」
「では、これで(サッ)」

と言って、水薫のサイフから出てきたものは、万札。

「ちょっ…おまっ!」
「えっ…と…小銭は無いのかい?」
「しまったな…小銭は用意していなかった」
「このバカっ! 俺が払っといてやるから! フランクフルト2本ください」

屋台の人に、600円を渡し、フランクフルトの片方を水薫に渡す。

「コンビニで万札崩してこい!」
「仕方無いな…雷光、ついてこい」
「そこにコンビニあるだろ、1人で行ってこいよ。待っといてやっから」
「ちっ。…迷子になるんじゃないぞ」
「なるか! アホ!」

水薫がコンビニに入っていくのを見届けてから、フランクフルトをかじった。
すると突然、後ろから肩をポン、と叩かれた。

「(帰ってくんの早いなぁ)もう崩してきたのか?」

後ろを振り向くと、

「下僕の分際で、どんな口利いてんのよ」
「…待ち人か?」
「こんばんは〜…えっと…誰を待っているんですか?」

天気研究部のメンバー!?

「ガウ?! 何故ココに?!!」
「お祭りに来たからに決まってんでしょーが。で、誰のこと待ってんの?(ニヤニヤ)」
「え?! あ…別に誰も…」
「ふ〜ん。じゃあ1人で喋ってたの? っていうか、その着物どうしたのよ?(ニタニタ)」
「えっと…これは…俺の…」
「雷光、飲み物はお汁粉で良かったか? それとも私のミル…ん? どうした雷光?」
「(オワタ\(^O^)/)」

その場の空気が氷河期を迎えた。

「それより雷光、そちらの者達は?(ギロッ)」
「あ! …こいつらは、大学のサークルメンバーで…その、さっき、たまたま」
「あら、初めまして。私は部長の冰山 冬妃。雷光には、主に私の下僕として働いてもらっていますわ」
「ちょっ! 先輩?!」
「…下僕、か…(ピキ)」
「…我は仙 九魂だ。…こっちが、我の愛しの妹、六魂ちゃんだ」
「(お、お兄ちゃん…!)は…初めまして!」

サークルメンバーの自己紹介が何とか終わったところで、水薫が一歩踏み出した。

「私は北神 水薫という。雷光とは歴としたこいび…」
「あわわわわ! こいつは、俺の兄貴だ! 歴とした兄貴だ!(泣)」
「へ〜え、そう、お兄様なの」
「そっ、そう…お兄様です…」

先輩と水薫との間にバチバチ火花が飛んでる気がしなくもないけど、きっと気のせいだ。

「(この状況…どうしたら良いんだ?)」
「…雷光、行くぞ」
「えっ、ちょ…痛い! 引っ張んなよ!」

有無を言わせずに水薫は突然、俺の腕を強く引いて走り出した。
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