ボカロ小説

□−初恋の味−
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男の人はだいたい、メイ姉とかルカ姉みたいに、"おっきい"方が好きなんだ、って、前見た雑誌に載ってたような気がする。
ってことは、カイ兄とかレンとか、みんなそうなのかな?
じゃあリンって、あんまりモテないのかなぁ?
もしかしたら、あの人も…?
なんて、うじうじ悩んでるのもヤだから、もう1個ミカンを食べようと、テーブルの上のかごに手を伸ばしかけたら、ちょうどリビングのドアが開いた。

「あっ、がっくん!」

そしたらちょっと微笑んでくれて、リンの隣に座ってくれた。
向かいでバナナ食べてるレンがなんかがっくんのこと睨んでるけど、そんなのは気にしちゃダメ。
今度こそミカン食べようと思ってかごを見たら、がっくんがその中から1個取って、

「これは甘そうだな」

って言って、皮を剥き始めた。

「え、がっくん、そーゆーのって分かるの?」
「あぁ。色が濃くて小さいものが甘い」
「すっごーい! がっくんさすが!! …ねぇ、そのミカン、リンが食べてもいーい?」

もうほとんど皮剥き終わってるけど。
がっくんがちょっと笑って、

「あぁ構わんよ。…確かリン殿は白い筋も取っておったな?」

って、丁寧に丁寧に剥いていく。

「うんっ、よく知ってるねー!」
「ふふっ。リン殿がミカンを食べているところは、よく見かけるからな」
「…ちっ」

今なんか、レンの舌打ちが聞こえた気がするけど、気にしちゃダメ。

……でもこれってよく考えると、がっくんがリンのためにミカン剥いてくれてるってこと?
なんか、ドキドキしちゃう。

「…ほら」
「わっ、ありがと〜♪」

がっくんがキレイに剥いてくれた、甘いミカン。すっごく嬉しい。
嬉しくって、もっと胸がドキドキしちゃう。

「…ねぇ、がっくん?」
「ん?」

もうドキドキしてるんだから、思い切って訊いちゃおう。
前からずっと、そしてついさっきも、悩んでたこと。

「え、えっとね…」

うぅ〜、やっぱりストレートには訊けないー…。
で、でも、勇気出して行こう、うんっ!

「えっと…が、がっくんの好きなタイプって、どんな人…?」
「好きなタイプ…?」

あぁっ、もう! そんな微妙な質問がしたいわけじゃないのにー!

「お、おいリン! オレがいながらそんなコト訊くか、フツー!?」
「ふむ…そうだな…」
「何 真に受けてんだー!」

はぁ…どうしてズバッと勇気出せないんだろー…。

「例えば、そのミカンのような人なら私の好みだな」
「えっ?」
「はぁ?」

思わず、レンと疑問の声がハモる。
がっくんが示したのは、さっきリンに剥いてくれたミカン。

どーゆーことなんだろ? がっくんが丁寧に剥いてくれたミカンは、すっごく甘いはずで、小さくて、つるつるしてて、う〜ん…。
……つるつるしてるのが好みってことは…メイ姉達みたいにおっきくなくても、つるぺたでも良いってこと…かな…!?

がっくんはそれ以上何も言わなくて、でもリンの推測はきっと正しいはずで、もっともっと、ドキドキが強くなっちゃう。
なんだかこのミカン、リンに似てるみたいに見えてきちゃった。
"うぬぼれ"って言うのかもしれないけど、でも!

いろいろ溢れてくる思いとか考えとか、全部ごまかすように食べたミカンは、本当に甘くって、ほんのちょっぴりすっぱくて。
これって多分、きっと、

  −初恋の味−
 
 
 




 
「なぁ、ミカンがタイプって、どーゆーことだよ?」
「ん? あぁ、甘酸っぱいミカンのように、私に甘えてくれて、時々冷たい態度を取るような人ということだ」
「……よし、いろいろツッコミてぇがこれだけ言っておく。お前例えヘタだな」

 
    −END−
 
 
 
 








  
 
 −あとがき−
1周年記念フリリク、理苑さまへ「がくリン小説」で御座います! お待たせ致しました。
がくリンは初挑戦だったのですが…いかがだったでしょうか…!
何だか、がく←リン になってしまい申し訳ないです。
低クォリティのものですが、理苑さまのみお持ち帰りOKです。よろしければどうぞv
ではでは理苑さま、フリリクありがとうございました!
  2010.7.18 byキトラ
 
 

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