妖逆門小説
□愛猫 −あいびょう−
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と思ったら戻ってきた。
ねいどと共に。
「あらあらあら三志郎ちゃん! もしかしてぇ〜、心配し」
「不壊っ! どこ行ってたんだよ!? 何でねいどと一緒なんだよ? って、それどうしたんだ?!」
「……兄ィちゃん、あのなァ…」
ねいどをさらりと無視して矢継ぎ早に質問を浴びせる三志郎に、不壊は少し呆れる。
しかし三志郎が興奮するのも無理は無い。
なぜなら今、不壊の頭から飛び出ているものは、
「ネコ耳よ〜ん 可愛いでっしょ?」
「何でイキナリっ!?」
慌てて不壊をもう一度見れば、黒い帽子からぴょこりと見える黒みがかった灰色のふわふわしてそうなネコ耳。
視線を下に下ろせば、コートの隙間からは同じ色の尻尾がゆらゆらと。
三志郎が言葉を失っていると、不壊は小さく溜息をついて ねいどをギロリと睨む。
「うっ…。 ……で、悪いんだけどぉ、ちょっと失敗しちゃったみたいで、今日一日はこのままだからv」
「えぇっ!? 何でそんな面倒なことすんだよねいど!」
「ん〜。趣味かしら」
「うわぁ……」
迷惑極まりないねいどに、三志郎も不壊もげんなりとする。
そんな彼らを気にせず、ねいどはお喋りを続ける。
「まぁ明日になれば多分大丈夫よv 宿でゆっくりしてらっしゃ〜い」