09/27の日記

18:03
Re:弟
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最近、ヒチョル兄さんの様子が

なんだかいつもと違う気がして気になる。





『あのさ、兄さん…大丈夫?』

そう訊いても

『なにが?意味の分からない質問をするなよ』

眉間に皺を寄せて答えると、僕の肩を叩いて行ってしまう。


自分でも何が不安なのか、何が心配なのかはっきり分からないんだけど。






みんなで海へ行ったときは、ドラマのこともあったし
元気で、ちょっとワガママで子供みたいないつものヒチョル兄さんだったのに。


あのあと
…いろいろあったせいだとは思うけど


兄さんは少し変わった。






そうだな

昔みたいに人を寄せつけずに自分の殻に閉じこもる感じじゃなくて
何ていうか…


逆に

しっかり地面に両足をつけて、前に歩いていく強さを身につけようとしてる、
そんな感じがして仕方なかった。





こんなこと言ったら兄さんはきっと怒るかもしれないけど、

兄さんが無理して急に大人になって、僕らから離れていくような気がして
それが妙に寂しく思えて、すごく焦った。









香港のライブでは
ヒチョル兄さんは、走り回って思いきりはじけてて

ステージの上で、
ファンやスタッフに求められる
いつものSUPER JUNIORのキム・ヒチョルになっていて。




僕は
走り回る気まぐれな猫を演じてる兄さんを
掴まえてみたいと、

ステージのライトの中で衝動的にそう思ったんだ。












反射的に逃げようとするヒチョル兄さんの体を
力いっぱい引き寄せたら

兄さんの体から、力が抜けていくのが分かった。




それから
ライブが終わるまで、兄さんは僕の顔を見ようとしなかった。








「…なんの用だ」

香港から帰ってきてすぐ、飛行場から直接食事に向かう他のメンバーとは別れて
僕は兄さんの宿舎に向かった。

ドラマの収録で明日朝が早いから、と兄さんも食事を断ったのを知っていたから。

ドアを開けた兄さんは予想通り不機嫌で
分かってたはずの僕でも、少し傷つく。

「疲れてるから、用があるならさっさと言えよ」

中に入れてくれないの?

そう言ったら
ようやくドアが大きく開いた。



中に一歩踏み込んですぐに、真っ直ぐ近づいて唇にキスしたら
目を大きく見開いて驚くと

兄さんが一歩後ずさりした。


びっくりした表情もすごく綺麗で
もっと何度もそんな兄さんの顔を見たいと思ったから


逃げる兄さんの左手を掴んで引き寄せて、
右の肩を壁に押しつけるようにしてもう一度

下から掬い上げるようにキスをした。


「バカ…や、めろ」


今まで

正直に言ってしまえばヒチョル兄さんと何度もそういうことをしてきたけど、
いつもは兄さんが僕に応えてくれるだけで嬉しくて

嫌だって言われれば
絶対に無理矢理したりはしなかったから


こんなふうに僕の気持ちを優先させて抱くのは


本当に初めてだった。



「なんだよお前…!おかしいぞほんとに…!!」

どんなに暴れても、体の大きさと力じゃ絶対に僕が勝ってる。

大きな瞳で僕を精一杯睨み付ける兄さんを
そのまま抱きかかえるようにして引きずって、奥の大きな居間に入っていく。


窓際に置いてある真っ赤なソファに
兄さんを乱暴に押し倒して

体ごとのしかかるようにして
何度も何度もキスをした。


嫌がって唇が離れていこうとするたびに
追いかけて掴まえた。


兄さんが吐く息さえも
僕から離れていかないように。




左手で体を押さえつけたまま、もう片方の手だけで
シャツの胸のボタンを外していたら

「離せ…自分でやる」

そう言って
兄さんは僕を振り払って起き上がると

背中を向けて自分でシャツのボタンを外し始めた。





ほんの少し見えたヒチョル兄さんの目が赤くなっていて、

ボタンを外す手が微かに震えているのが分かって。



「…ごめん」


自分からは近づけても
人からの愛情表現には急に逃げ腰になる
人一倍プライドの高い兄さんを傷つけた。


今、自分のしたことが
どれだけ自分勝手だったか、ようやく気づいたんだ。


後ろから兄さんを抱きしめて、ボタンを外してた両手をそっと上から押さえたら

ホッとしたように
体を僕に預けるようにして寄りかかってきた。


「…食われちまうかと思った」


お前は今日から馬じゃなくてライオンだ、って
そう付け足して

ようやく兄さんが笑った。





兄さん。

10代のころ、兄さんの後ろをくっついてまわる僕を
兄さんは弟のように可愛がってくれたね。

遊ぶときも、仕事場でもいつも一緒で
遊園地に二人で行ったり、

同じベットで寝たりするのも
たまにふざけてほっぺたにキスさせられるのも

全然気にならないぐらい
お互いが子供だった。



二十歳を過ぎて

いつの間にか
僕の方が背が高くなって、力も強くなって

ヒチョル兄さんを…「兄さん」じゃなくて違う存在として

少しずつ意識するようになると

兄さんは戸惑い、僕から離れていくようになった。



ふざけたふりをして
抱きしめようとしても

振り払われて逃げられたことが何度もあって

僕も兄さんにあまり近寄らなくなった。



でも今、お互いが大人になって

僕は兄さんの『弟』じゃなくなった。


SUPER JUNIORっていうグループを大切にしながら
自分の道を進んでいこうとする兄さんを

支えられるだけの大人の男にはなってると思うんだ。



「…だから一人で歩いていこうとしないでよ」

後ろから抱きしめて、そう呟いたら



「分かったから…一緒に歩いて部屋に行くんだろ?」

って返事するから


思わず兄さんに手を引かれて
奥の部屋まで歩いてしまった。



違うんだけどな…。




「いいか!?無理矢理するのは二度とごめんだからな!」
顔に傷がついたらどうするんだ、って

ベットの上で服を脱ぎながら怒ってる兄さんの横で

とりあえず先にTシャツを脱いで座って待つ僕。


いつになったら、この関係は変わっていくんだろう?


とりあえず…呼び方を変えてみるか。


「あのさ…ヒチョル」


「呼び捨てにするな!」


「ごめん」



まあ、この関係も
結構気に入ってるんだけどね。



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