10/06の日記

16:32
ドンへの心配
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「兄さんってほんとに彼女いないの?」





僕がそうきいたら、ヒチョル兄さんはまるで漫画に出てくるキャラクターみたいに慌てて
飲んでたブラッディオレンジのジュースを吹き出しそうになった。


「なんだ、いきなり!」
久しぶりにお前と二人で出かけるから楽しみにしてたのに、って

大きい声で一人でしゃべりながら、なぜかテーブルの上をウェットティッシュでごしごし拭いてる。



兄さんの今までの恋愛話は、なんとなく訊いちゃいけないような気もしてたから

たまに寮の部屋で兄さんが酔っぱらったときに話し出す

『ライオンキング観ながらいきなりされたファーストキスの話』とか

『せっかくアドバイスしたのにデートのときに着てくれなかったチェックの服の話』だとか

『携帯電話の呼び出し音が怖いって嫌がられた話』とか

それぐらいしか知らない。

しかも兄さんは同じ話を何回もするから、覚えてしまったよ。


最近、ちょっと兄さんが変わったような気がしたから

新しい恋が始まったのかもしれないなと思ったんだ。


「やっぱりいないんだ」
「まだ答えてないのに決めつけるなよ!」
「じゃあいるの?」
「今はあれだ、ドラマで忙しいし会う時間もないだろ」
「兄さん、言い訳はよくないよ〜」

黙り込んだ兄さんが、わざと音をたててストローでジュースを飲み干す。


兄さんのこういう子供っぽくて、可愛いところが好きなんだけどね。



「兄さんは、女の子に求める条件が厳しすぎるんじゃないかな」
「そんなことはないぞ!贅沢なことを言っているつもりはない」
「例えば?」

「そうだな、まず背が高くてモデル体型であればいうことはない」
「まあ、スタイルはいい方がいいよね」
「それから俺に見合う美しさはやっぱり必要だろ?」
「外見以外には?」

「うーん。性格は、俺がどちらかというと少しだけワガママなところがあるから、それを嫌な顔をしないで聞いてくれる子がいい」
「うん。それは絶対条件だ」
「それと、メールとか電話とか、こっちがしたくなくて無視するとき、拗ねたり怒ったりされると面倒くさい」
「それは…女の子の場合、仕方ないよ」
「でも俺が電話したときはすぐ出てくれないと嫌だし、メールも5分以内で返事がきたら文句ないな」
「…」
「あと、休みはほとんど取れないから、そのことに理解があって
せっかくの休みにどっか連れていってとか言わないで、寮の部屋でのんびりヒボムと3人でDVDを一緒に観てくれる子」
「…」
「夜中にラーメン食べたくなって、連絡したらすぐ来てくれるような子もいいなあ」
「…兄さん」
「俺はあんまり外に出さないだけでかなり独占欲があるから、それも分かってくれて
俺に対しても常に関心を持っててくれてないと嫌だから、ヤキモチも妬いてくれて
でも俺のことは自由にさせてくれるとさらにいい」
「ちょっと兄さん!」
「なんだ?もう少し黙って聞けよ。お前が訊いてきたんだぞ」
「…わかったよ」


「髪を切ったら必ず気付いて褒めてくれないと嫌だし、
俺がつまらない顔をしてたらすぐに側に来てくれないと嫌だな。
それと基本的に俺の話を楽しそうに聞いてくれる子がいい。
いつも、へえ〜そうなの?って感心してくれたり、笑ってくれるような子だな」

「…まだあるの?」

「考えてみたらいくらでも出てくるな」



…あのさ、兄さん。

兄さんが会いたいときにすぐ飛んできてくれて、
兄さんを思いっきり甘やかしてくれて


兄さんをまるごと抱きしめてくれる


兄さんの言ってる
『理想のタイプ』にぴったりな人知ってるよ。






…すぐ近くにいる男だけど。

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