04/22の日記

19:06
デート
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「最近は遊園地とか流行りじゃないらしいな」


いきなり

向かいに座って水餃子を食べてた兄さんが言い出す。

リビングのテレビに映ってる番組の話かと思って
視線を兄さんの横にずらしても

画面には
バラエティー番組しか映ってない。



「…そうなんだ?」

とりあえずそう返事をすると、兄さんは満足そうに頷いて

また食べはじめた。




ヒチョル兄さんが

遠回しに何か言ってきたときは

甘えたいときなんだって分かったのは

つい最近だ。


髪型をいろいろ変えるときも、構ってほしいときで。


そういえば

僕はドラマの撮影で
兄さんはラジオの収録、

二人が同じ時期にずっと一緒に韓国にいるのは

久しぶりなんだ。



でも会えるのは
どうしても夜中か朝早い時間で

向かいあって
こうして一緒に食事をするくらいしかできない毎日が続いていて。



兄さんの
遠回しなお願いの内容が

なんとなく分かって


それが可愛くて

にやけそうになるのを
必死でこらえて真面目な顔をした。


「兄さん。週末に映画にでも行こう」


水餃子に集中していた兄さんが、一瞬動きを止めて僕を見上げる。


長い前髪の間から
ほんの少し見えた大きな目が、パチパチ瞬きをして

また何事もなかったみたいに水餃子に集中した。



「兄さん」

「なんだ」

「箸が逆だよ」

「……」



うるさい、とか

お前がいきなり映画とか言い出すからだ、とか


慌てて水餃子のスープをこぼしながら兄さんが言う。



その日の夜、
僕が寝たあとで

(正確には寝たフリをした後だけど)


こっそりベットから抜け出して

パソコンで
映画の時間を調べてた兄さんを


僕はたまらなく愛おしく思うんだ。

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