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□発令
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一筋の日の光さえ射さない広い檻の中。
私の監禁生活は絶賛継続中だった。
そして、取りあえず情報を得ようと思い留まってみたものの、部屋から出られなければ何にも出来ない事に気づいた。
「うわちゃーっ!私やっちまった!?」
天井を眺めて、息を深く吸った。
そして一気に吐き出す。
「意味ねぇーっ!」
ついでに、寂しくて独り言まで増えてきた。
もう駄目かもしれない。
「もいっちょ、意味ねぇーっ!」
こうして騒いでいると、たまに誰かが様子を見に来てくれるのだが、今日は近場に誰も居ないようだった。
勝手に出てっちゃうぞ。
「でもな、外には合成獣にあの食人鬼がいるしなー。」
おかげで怖くてお外に出れません。
しかし、此処はやる事がなかった。
おかげで脱出を考えながら、日がな横になっているぐうたらな毎日。
「これは丸くなるぅ。それはヤバすぎるぅ。」
食って寝る。
おデブへの最短ルートだ。
殺されないからといって危機感が無さ過ぎるのもいけない。
すぐさま上体だけを起こして、腹筋運動開始。
「のぉー…。」
二十回ほど動いて、再び体を寝台に投げ出した。
軍で働き続けていたのなら、こうした時間なんてなかった。
書類を書いたり、訓練したり。
いまだに眩しいくらいに輝く愛おしい日々の記憶。
今は思い出すのも辛い記憶になってしまったが、それでもあの日々は充実していたことは確かだ。
大総統令三○六六号。
あんなものが発令されるまでは、私はずっとそれが続くと思っていた。