◇F/Alchemist

□犬の軍人さん
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「ただいまー。」
「あ、お帰りなさい中尉。外線からお電話です。」
「ありがとう。」


受話器を受け取りながら小声で、誰?と訊ねると、部下は己の前髪全てを両手で後頭部に向かって撫で上げた。
それだけで私は成る程と納得し、電話に出る。


「お電話代わりました。」
『一体何処に行っていたのですか?』


やはり相手は夜勤明けで、眠いと言いながら、さっさと帰っていった上官からだった。


「何処だっていいじゃないですか。」
『私はアーデルハイドと話がしたかったから電話をしたのですが、彼が出て残念です。』
「それってまさか、私がサボっていないかわざわざ電話で確認ってことですか?お暇ですねぇ。」


それに、話ならつい一時間くらい前までしてたじゃないですか。
と続けようとして、機械越しの声に寒気を覚えた。


『貴女は私が目の前に居ないと随分と強気ですね。』
「気のせいデス!」
『まぁ、いい。すぐに来て下さい。』


誰だ。
あの爆弾に火をくべた奴は!





 
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