◇F/Alchemist
□乙女心、男知らず
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自宅にて只今風呂上がり。
夕食の後に一杯引っかけて、おつまみにチーズなんか摘んじゃって。
気持ちがほんわかした所でお風呂に入ったのだ。
久し振りにのんびりと湯船に浸かれて幸せな時間でございました。
しかし、この後何気なく行った行動が私を地獄へ突き落とすのだった。
鼻歌交じりにタオルで体や髪を拭く。
そうして水気を取りながら、私は脱衣所に置いてある体重計に乗った。
体重を受けカッタンと音を立てる機械。
足下で目盛りが緩やかに回り、私の現体重を示す。
「!?」
その数字を目にして、自然と鼻歌が止んだ。
目盛りが過去最新の記録とは異なる数字をはじき出していたからだ。
「増えてる…。」
ついこの間筋トレの量を増やして絞った筈なのに、増えてる。
「いやいやいや。これは何かの間違いだとも。」
空笑いと共に私は体重計の目盛りを確認した。
「ずれてない…。」
タオルを取っても変わらない。
髪をしっかり乾かしても変わらない。
「……。」
母さん、またしても乙女のピンチです。