F/Alchemist
□気の置けないヒト
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本は好きだ。
沢山の知識が詰まっているのが面白い。
だけど、専門書になればなる程に重くなるのがちょっと不満だ。
「姿勢が悪いぞ。」
「んー。」
分厚い書籍を床に置き、寝そべるアーデルハイド。
そんな彼女をソファーに深く腰を掛けながら眺めるロイ。
その手にも一冊の本が収まっていた。
アーデルハイドは脚を上下に振りながらページを捲る。
ロイも男だ。
程良く引き締まった脚につい目がいってしまう。
しかし、その視線に彼女は全く気づかないようだ。
「…全く。部屋に来たいと言い出すから何かと思えば。」
「ぁー期待しちゃった?」
「誰がアディ相手に期待などするものか。」
口でそう言いつつも、多少の期待があったのを悟られないように気を配る。
「あ、そっ。」
アーデルハイドは素っ気なく返すと、本を読む時だけかける眼鏡を押さえる。
そしてページを捲った。
「だけど、やっぱり違うモノを専攻してるヒトの本棚って面白いね。」
「そうか?」
「そうだよ。家には無い本が多いもん。」
ちなみにコレも、とアーデルハイドはまたページを捲った。
「ナルホド。なら好きに読めばいい。」
「勿論そのつもりでーす。」