F/Alchemist

□誘惑一瞬、後悔一生!
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「…イタズラしたくなるじゃないっすか。」


少佐の安らかな顔。
それが私の悪癖のイタズラ癖をコショコショと擽り始めた。

まず墨で額に肉とかは王道ですよねー。
丁度いい具合にデコが出てるし。
まぁ、そんな事してバレた後が洒落にならないのでやりません。


「…。」


やりません。
やりませんよ。
やりませんとも!
でもぉ…ッ!

己の意志とは逆に、少佐の額に触れようとする我が手を叩いて諫める。
こら、死に急ぐなアーデルハイド!


「……ぬぅ。」


これはマズい。
誘惑の元から離れようと思い、足を動かす。
そして視界に入った黒髪。
私の耳元でまたしても悪魔が囁いた。

この艶のいい尻尾髪を三つ編みツインテールにするとか!
お団子とかも可愛いかもしれないっ!!
リボンなら引き出しの中にあるよ!!!

いやいやいや、耐えろ私。
アーデルハイド、耐えるのよ!
やったら最後、明日朝一番に鏡を覗いて見る私の頭は五分刈りだぞ!!
否、坊ちゃん刈りかもしれないっ。


「うぬぬぅ〜。」


悪魔と天使の葛藤の末、ついに我慢できず指先で少佐の頬を突っついてしまった。

…なかなか結構な弾力ですこと。

私は面白くなって何度も繰り返した。
何故か少佐は触るのだけでも恐れ多いのよ?
こういう時じゃないと絶対触れないもん。
いや向こうから触って来るけど、割とセクハラチックだしねアレ。
だから、たまにはいいじゃん。
人生開き直ったモン勝ちだってどこかの誰かが言っていたと思うし。
私は自分に対して言い訳を綴っていく。



ワシッ―――



手が温かいモノに包まれた。
見れば、ぷにぷにと頬を突っついていた私の手を掴む男の手。
思考が一時停止から早送りにって、え、いや、まさか…。




 
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