F/Alchemist

□焦がれ狂恋
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手をつけるにはまだ早い。

彼女が私を意識するまで。

彼女が私を求めるまで。






ゆっくりと時間をかけるつもりだった。
最初は側にはおいて、手懐ける事から始めた。
私の補佐官として過ごして早数ヶ月。

彼女は段々と打ち解けてきた。
しかし、それは私の立場が知人友人と同等になってきたというだけだ。
私の求めるモノとは違う。
だが、それでもいいなどと思う自分がいるのに少々驚いていた。
自分がこんなにも謙虚だなんて、これも彼女の影響なのかもしれない。



それでも欲しいという欲望は抑えられるものではない。











その小さな体はすっぽりと腕の中に収まった。
小さい、小さいと思ってはいたが、コレほどだったとは予想外だった。

突然の事に驚いているのだろう、彼女の体は硬くなっている。
それでも私などに比べればとても柔らかいし、年頃の女の放つ甘い香りがした。


「……は、放して下さい。」


腕の中から聞こえるアーデルハイドの声は震えていた。
でも、そんな事は関係ない。
ただ今は理性よりも欲望の方が強く肢体を支配している。
もう止められない。


「私に抱かれるのがそんなに嫌なんですか?」


耳元で囁くと彼女の体が揺れた。


「…嫌、です。」


頬を真っ赤にしながら彼女は私を睨みつけた。
その錆色の瞳は少し潤んでいる。

こういう表情は良いものだ。
非常にそそられる。
私は思わず己の唇を舌で舐める。


「そうですか…。」


私が拘束を緩めてやると、案の定腕の中から彼女は逃げ出した。
だからといって此処は部屋の隅で、唯一の出入り口は私の背後だ。
ああ、この女なら窓から飛び降りるかもしれないか。
だが、その窓も遠い。
もう逃げ場は無い。




 
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