090809*今日は何の日。

今、とても俺は驚いている。普段俺から抱きしめたりキスしたり誘ったりしているのに、今日はなぜかブン太から抱きついてきてくれた。
いや、あの、嬉しいことこの上ないんやけどね、ちょっと、ていうかかなり困るっていうか…。

「ブン太」
「………」
「えっと、」
「別に、」
「?」
「別に抱きつきたくて抱きついてるわけじゃないから」
「……」
「……」

えっと、えっと、じゃあなんでブン太は俺に抱きついてるの、って聞きたいんやけど何となくこわくて聞けない。
いや、でもここで聞かんと男がすたる!

「じゃあ、なんで?」
「それくらい自分で考えろ、ばか」
「えぇ〜」

そんなこと言われても!
一段とわけのわからないブン太にお手上げ寸前。いつでもブン太の考えていることは不思議でしょうがない。本人に言ったらお前には言われたくないと言われてしまいそうだけれど。

「あの、わからんのやけど」
「じゃあ、わかんなくていい」
「えっ」
「でも抱きつきたいわけじゃないから!しょうがないからだからな!勘違いすんなよ!」

ああ、もう、頭ぐりぐりって押しつけんで!可愛いから!

「わかったか?」

いや、まぁ、こんな状況は大歓迎や け ど!
ほら、めったにない状況やから!いつもより我慢がきかないっていうか!

「わかったわかった!」

そう言うと、ブン太は顔を上げてにこっと笑った。反則級のとびきりな笑顔。

「ならいいんだ!」

ああ、もう可愛すぎるお前が悪い!どうなってもしらん!

「ブン太、ごめっ
「今日はさ、」

と、押し倒そうとしたときブン太の声が重なった。

「8月9日でハグの日なんだ」
「…」
「だから、」
「…」
「だから、なの!」
「…」

えっと、つまり、8月9日でハグの日やから、自分から抱き付いたと。普段抱きついてこないブン太が。
えっと、もしかして、

「…自分から抱きつきたかったん?」
「はぁ!?そんなわけないだろぃ!自惚れんな、ばか!」
「いった…!」

脛を思い切り蹴られて涙目になる。ちょ、蹴りはなしじゃろブン太…。
少し下にあるブン太を見れば、耳が髪色と同じ色になっていた。





「ふふ…」
「きもちわるい」
「ブン太、好き」
「…あっそ」


言葉とは裏腹に、抱きついてくる手に力がこもる。
ああ、もう、なんて可愛いんだ。

結局、そのあと我慢できなくて、その、えっと、押し倒してしまったわけやけど、いつもより少しだけ素直なブン太にもうどうしようもなかった。

きっとブン太以上はいないんやと思う。


「仁王、ん、好き…」


いや、絶対におらんな。





〇ツンデレなブン太を目指しましたが玉砕…。

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