090731*「幸せってどんな色じゃと思う?」「銀と赤だろぃ」

好きだよって言ってくれるのを、ずっとずっと望んでいた。あいつの唇が声が「好き」という形をつくることに、この上ない幸せを感じていた。

だけど、苦しいんだ。
いくら優しく言われても、色気たっぷりに囁かれても、そこに気持ちがないと思い知らされるたび。
そんなことわかってたはずなのに、それはただの自己暗示で自己防衛で自己満足だったんだ。
辛いものはやっぱり辛いし、苦しいものはやっぱり苦しい。

でも、いい。好きになってくれなくても。それでいい。
だってあいつはとんでもないバカ野郎だから。
気付いていないふりをして、自分も相手も傷つかないようにして、上手くやり過ごそうとする。結局傷つくのはあいつなのに。

でも、今回ばかりはそうはいかないってこと見落としてるんだ。
なぜなら今回の相手は俺だから。あいつのこと誰にも負けないくらい好きだって、胸をはって言える俺だから。

いつもいつも傷ついて終わる、ボロボロなあいつの心を、ほんの少しでも暖められたらいい。

俺はいくら傷ついてもいいから。
好きだ。





〇ダメなやつほどほっとけない。てきな。

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