novel
□color to color
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久しく、色に会っていない。
真選組副長という職業上、攘夷の粛清や小競り合いなども多々あって。
人を斬るうちにいつの間にか俺の視界は黒と白と紅でしか表現されなくなった。
別に今の生活が嫌な訳ではない。モノクロと紅の視界にももう慣れた。
「…土方さん?」
ただ、君と同じ色が見れないことが。
color to color
「…土方さん、やっぱり大丈夫ですよ。まだ夕方ですし」
「巡回の通り道だ。気にすんな」
でも、と俯き加減に新八が訊ねる。
先程偶然行きあい、半ば強引に志村家まで送ることにしたのだ。もちろん、自分の為に。
「夕方ったって頭いかれた奴はいるしな」
そう、我ながらいい言い訳だと思う。滅多にないこの機会を引き伸ばす為の大義名分。
しかし予想は大幅に反れて新八はこちらをキッと睨んできた。
「…………どーせ、僕は土方さんより弱いですよ」
不機嫌な声。
「でも、これでも侍のはしくれです。自分の身は、自分で守れます………なめないで、下さい」
まさかの展開。新八の機嫌を損なってしまったらしい。
違う違う。そんな意味で言ったんじゃない。
でもどれも言い訳にしか聞こえない。どう言えば伝わるんだ?
「………なんて、嘘ですよ、土方さん」
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