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□恋情遊戯
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「好きだよ」


彼の妹と似た桃色の髪をひらめかせて、夜空に言葉が放たれた。


「…………は?」





恋情






神威。
言わずと知れた宇宙海賊第七師団長。
万事屋の従業員であり新八にとって妹のよう、娘のような存在である、神楽の兄。
吉原の騒動に一枚噛んでおり、万事屋にも少なからず干渉してきた。とはいっても新八は少し遠目から姿を眺めただけであり、直接顔をはっきり見たことも、話したこともない。


その神威が帰宅途中の新八を捕まえて好きだなんだほざいたのは少し前のこと。


「ほざいただなんて、ひどいなぁ新八」

「……何でいるんすか」

「新八への愛が引力となって、気づいたら新八のそばに」

「…」


頭のネジは確実に緩んでいる。
最初の恐怖心は泡のようにはじけ、今となっては軽く憐れみすら感じる。


「新八ー?」

「なんですか」

「好きだよ」

「……やめてって言ってるじゃないですか」




『今は好きじゃなくても、好きって言わせてみせるよ』



あの夜の言葉。
あれから神威は会う度会う度好きだを繰り返す。新八はその都度はねのけてきたが、神威は諦める様子はない。

いつの間にかそれは新八に「好き」を言わせるゲームのようになって。


「新八、すときを連続して言ってよ」

「嫌です。見え見えですよ」

「うーん、ばれたかぁ」


ケタケタ笑って、まるで堪えていない様子。

「新八ぃ、ね、俺のこと好き?」

「…嫌いです」

「その反対は?」

「す……そうはいきませんよ!」

「惜しいなぁ」





意固地になりつつある恋情遊戯。







「新八、牛肉と豆腐と白滝とかを入れて、卵につけて食べるお鍋は?」

「す、…sukiyaki…!」

「ローマ字だと…」

(危ない危ない…)


胸をなで下ろして。
さていつまで続くことやら。


「あっ新八、俺、夕飯肉じゃが希望だな」

「食べてくつもりですか」

「肉じゃが嫌い?」

「いや好…………っ嫌いじゃないです」


「もう言っちゃえばいいのに」

「絶対いやです!」









end?

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