celebration
□インモラルな関係
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その柔い肌をするり撫でて
インモラルな関係
――――自覚はしている。自分はダメ人間だ。マダオだ。まるでダメなオニイサンだ。あ、まだおっさんじゃないからね。まだ20代だから。ぴちぴちだから。
まぁ、兎にも角にも俺はそういう人間なわけだ。…そんなことを考えるのは、目の前ですやすや眠るコイツのせいで。
――穏やかな呼吸に、内心すごくほっとしているのは、ここだけの話。
起こさないようにそっと新八の首筋に咲く赤い花を撫でる。
花は、首筋だけでなく、新八をぐるり取り囲むようにあちこちに咲いていた。
ため息をついて、布団を深く被り直す。俺だって正直、その、ピロートーク的な?そういうのをやりたいわけだよ。
布団の中でいちゃいちゃ、みたいなさ。
それは結局の所、一度として達成されたことは無い。
何故ならばコイツがこんなにも可愛いから。
だからついついやりすぎてしまうのだ。
……彼が気絶してしまうまで。
あーあー分かってる分かってる、俺のせいだ。
元来性格がSってこともあるが、出来るならもっといたわってやりたい。新八の負担を少しでも軽くしたい。
そう、本当に、思ってるのに。
「……ん…」
「っ!」
体を丸めるように身じろぐ新八に起こしてしまったかとびくつく。が、愛しい恋人は夢から覚めることはなく。
「…………………」
自分の手をまだまだ若い肌にすべらせる。
可愛いんだよ、ちくしょう。
「………………好きだ」
―――あまのじゃくな俺は、こうしてしか、想いを伝えることが出来ないのだ。日が昇っているときには、気恥ずかしくて言えない台詞。
それでも新八は笑顔を向けてくれるから、優しさをくれるから。愛しさは吐き出せないまま、溜めて溜めて溜めて、そして、一気すぎるほど吐き出してしまう。
そしてその結果、彼を気絶させるに相成っているのだから情けないったらない。
(……こんな俺なのに、お前は受け入れてくれんのな)
ああそしてまた愛しさが溜まる。
面と向かってこの想いを言葉で吐き出せれば。
そんな勇気があればいいのに。
――――意気地なしな俺はまた、寝ているきみにキスするしか出来ないんだ。
end.