リリカルFate
□新たな出会い
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「……は?」
「だからねシロくん、なのはと一緒に小学校に通う気はないかい?」
「…なんでさ?」
相手の方が年上にも関わらず、昔からの口癖が出てしまった。
あまりにも唐突で、あまりにも意表を突かれた。
しかし、狐に摘まれたような顔をする士郎に比べ、士郎(大)はにこやかな笑顔を浮かべている。
その表情を見ると、何故か頬がヒクりと引きつるのが抑えられない。
「えっと、そんなに気を遣って頂かなくても大丈夫ですよ?」
そもそも、確かに身体だけを見れば小学生ではあるものの、その実中身は立派な大人。
今更小学校に通ったとしても、学問的には既に修めている上に鍛錬も出来ない。
失うモノの割に得るモノが少なすぎる。
それに、如何に精神は肉体に引き摺られると言っても、士郎が《こちら》に来てからまだほんの数える程度の日数しか経過していない。
故に、《小学生》という単語に抵抗があっても致し方ない。
むしろ、それが普通の感性だろう。
「シロくんが一緒に行ってくれたらなのはも絶対に喜ぶと思うんだけどな」
「あー…その、金銭的な問題もありますし……」
なのはが通っているのは私立の小学校だと、他ならぬなのは自身が言っていた。
難しい話を持ち出すよりも前に、居候である身なのに、あまりお金を掛けられるのは良心的に痛い。
「それなら安心してくれていい。シロくん一人ぐらいなら大丈夫だ」
「…ほら!俺って戸籍不明ですし!」
「それも万事抜かりはないよ。知り合いに頼んで偽造してもらったからね」
「………」
清々しいまでのサムズアップを見せてくれた士郎(大)だが、やっていることは清々しさの欠片もない。
なんとも軽いノリで言われたが、戸籍の偽造は明らかな犯罪行為。
士郎(大)の顔からして、どうやったかは知らないが、裏から手を回したということだけは分かる。
だが、その手回しの良さと言うか、手の長さと言うか、兎にも角にも喫茶店の店主にしては異常な人脈の広さに嫌な汗が頬を伝った。