リリカルFate
□異世界の魔法
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Side なのは
ちゅんちゅんちゅん。
快晴の空の下、鳥のさえずりが美しい音色となって響く気持ちのいい朝。
高町家の二階では、末っ子であるなのはが未だ深い眠りについていた。
「くー…くー…くー…」
そんな中、なのはの部屋で「とてとてとて」と可愛らしい音が鳴る。
床の上を進み、なのはのベッドへ上がったのは一匹のフェレット。
まるでかなり慌てたようになのはの顔の横へ行く。
『なのは、なのは!そろそろ起きなきゃ!』
「ん〜…ユーノ…くん……? 今日は日曜日だし、もうちょっとだけお寝坊させて〜」
『ダメだよなのは!ジュエルシードを集めるのは今日はお休みにしようって言ったけど、今日は友達と約束があるっていってたでしょ!』
「…うにゃ〜……後5分だけ〜」
なのはに《朝は布団から出られない》の法則が働く。
ある意味、どんな魔術よりも協力無比な力。
一度掛かってしまえば、起きようと思ってもなかなか起きられるものではない。
『なのは!』
「…にゃー……」
ユーノと呼ばれたフェレットの声が頭に響く。
それでもなのはの眠気は覚めない。
むしろ更に悪化している感がある。
しかし、それもドアの外に誰かが来たのを察すると声を潜める。
『コンコンコン』
木材を叩く音。
扉の前には桃子に頼まれてなのはを起こしに来た士郎がいた。
「…はぁーい……」
『俺だ、なのは』
「ふぇ? 士郎くん?」
『ああ。そろそろ朝食を食べないと時間に間に合わなくなるぞ』
「…うぅー…分かったぁー……」
ゆっくりではあるが、ようやく頭を起動させたなのは。
足取りはこれ以上ないほど重い。
だが、観念したように布団から出ると、服の入っている箪笥(たんす)へと向かう。
『……なのは、大丈夫か? 最近は夜に出歩いてるみたいだけど、あんまり女の子が遅い時間に外を出歩くのは感心しないぞ』
「にゃはは、わたしは大丈夫だよ。だから士郎くんは先に下に降りてて」
『……分かった。何か俺に手伝えることがあったらいつでも言ってくれ』
「ありがとう、士郎くん」