リリカルFate

□もう一人の魔法少女
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「なのは、そろそろ準備は終わったか?」

「にゃ〜!?もうちょっと待ってぇ〜!」

「早くしないとバス行っちゃうよー」

「うにゃ〜!?」


普段から賑やかな高町家とは言え、今朝はいつもとは違う喧しさがあった。

いや、そうは言っても一人を除いけばいつもと変わらない。

ただ、なのは一人が今朝はドタバタと忙しそうに何かを支度している。


「……なのはが朝に弱いの忘れてたな」


これなら普段通り早めに起こしてやればよかった。

ところ狭しと居間と洗面台を行き来するなのはを見ると、そう思わざるをえない。

そんななのはの様子を横目に、士郎は休日のお父さんよろしくのんびりと新聞を読みながらコーヒーを飲む。

今日、朝から出掛けるのは恭也さんとなのはだけだ。


「準備終わったよー!」


ようやく落ち着いたなのはが少し小走りをしながら居間へと戻る。


「む……なのは、ちょっと来てくれ」

「え? どうしたの士郎くん?」

「ちょっと後ろ向いてくれ」


士郎の目の前にやって来たなのはは素直に体を180度回転させる。

そして、士郎の手がなのはのツインテールに触れる。


「時間がないからって女の子が髪を適当に結んだらダメだろ?」

「にゃはは…」


髪留めを外して一度髪を解く。

ゆっくりと数回手櫛で髪を梳くと、士郎は再びなのはの髪を二つに纏める。


「慣れた手つきだな」

「まぁ、その…前にちょっと色々ありまして」

「色々?」

「はい。……よし、もういいぞ」


髪を整えたなのははそのまま美由希の前に立つ。

綺麗に纏まった髪を振り、美由希の前でくるりと一回だけ回った。


「うんっ、可愛いよ、なのは!」

「にゃはは」


流石士郎くん。

自分でも分かるぐらい、さっきまでとは違う。


「なのは、そろそろ行くぞ?」

「はーい!」


留守番の二人によろしく頼むと言い残し、二人は一路、本日の目的地であったすずかの家へと向かった。
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