オリジナル小説置き場

□ただあの空が見たいだけ
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誰か助けてよ、





でも分かってる。誰も助けてくれない事












ねえ、だったらいっその事、私を殺してよ









ねえ

















そう、そう思いながらも自分にとってはどうでもいいような月日は経って

死ぬ事を望みながらもその死をどこか恐れる自分が呼吸をして生きている



そっと手を伸ばせば窓の外でいつも媚びている空には届かなくて

白くどこか薄汚くなった病院の天井ばかり





その腕さえもいつしか点滴と注射のあとばかりになっていて

いつか解放される事を願ってた









けれどもそんな願いも叶わないと分かりきってしまった今日この頃







フ、と目を開けた
またいつもと同じ天井を見上げる




―――ああ、今日がまたはじまったんだ、


その瞳には生きるという希望もなく、

ただただ解放という名の解禁日をいつかいつかと望んでいる安楽としたものが移されている



周りを見ると他の患者さんは寝ていたりテレビを見ていたりと様々。

テレビは音を立てないようにほとんどの人はイヤホン越しで聞いている



だから今この病室は静かなまま









「――――…死ねばよかったのに」



フと、夢から目を覚めてしまった自分を自虐し始める






別にそういうのがしたい訳ではない
ただ、自分の思い通りにならない現実が嫌なだけなのに

何も出来ない自分も、哀しい





そしてまたしての天国か地獄か、どちからへの導かれの放心状態がやってきた



ああ、どうか自虐するしかないこの私を地獄へと送ってやって

願うのは、そんなことばっか









とろん、とあと少しでくる地獄からのささやかな甘い声の導き

けれど、そんな声が看護婦さんの声によってかき消されてしまった




「ご飯ですよー。」



明るい表情と声で此方にできたばかりの塩分がほとんどない朝食を運ぶ看護婦

私は一言「ありがとう」と言い放つと、これまた綺麗な笑みを浮かべた











――――いいなあ、



その自由が欲しい


そんな顔になれる自由って、どんな極楽なんだい


天国よりもすばらしいの?



地獄よりも苦痛な日々を乗り越えてきた証なの?












"ねえ、どうして"










そう思った瞬間、気付かぬうちに私は点滴の針を抜いていた

ぶちっ、ぶちっ




抜く瞬間、自分を雁字搦めに縛っていた何かがとかれた気がした




そして、ぶちぶちと点滴の針を抜き、とうとう抜くものはなくなった



つぅっと玉のようにして出る血






――――ああ、これで、自由なんだ
















そう思うと、目からは涙が出ちゃってたんだ

























誰か、僕を解放して、くださ、い



END

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