D灰 長編
□それはマナーというもので
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とある街。
時刻はちょうど12時。
今日、静かな夜は訪れず、弾丸と破壊音が響き渡る、異様な光景が広がっていた。
街中を駆け回り戦ってあるのは、黒服の少年と、不気味な人にも似た兵器"AKUMA"。
「何やってんだろ…」
そう言って、1人の少女は目を覚ました。街の中心にある安い宿屋の二階、小さな窓からボンヤリ外を眺める少女。
ちょうどその時、窓の向こうから現れたAKUMAと目があった。
レベル1のAKUMAの銃口が、少女に向けられる…。
次の瞬間、銃を放つ音が少女の声を掻き消した。
「 近所迷惑ですね 」
そこに残ったのは、銃を片手に、何とも不機嫌そうな顔をしている少女だった。
次の日
少女は陽が昇り始めた頃 目が覚めた
ゆっくりと起き上がり、ベッドの上で伸びをする
金色の髪が朝日に照らされて、キラキラ輝いていた
なんとも穏やかな朝
しかし それは少女だけに視線を向ければの話で、部屋の中は割れた窓ガラスや小物が散乱して、修羅場を想像させた
「はぁ…お腹空いたなぁ…」
そう呟くと少女は、何気なく窓辺に近寄り通りを眺めた
すると、1人の男の姿が目に止まった
黒くて長い美しい髪
この距離からでも分かる端正な顔立ち
少女は、無意識のうちに目が釘付けになっていた
彼の
持っている おにぎりに。
「(んー、ライスをあんな風にして食べるとは…)東の食文化だね。珍しい…にしてもあんなお兄さんが食べてるの見ると…」
楽しそうな笑みを浮かべて、男を眺める少女。
ちょうどその時、男が不意にこちらに目を向けた。慌てて窓から離れたが、恐らく姿を見られただろう…。
「…支度しよ(お兄さんに見られちゃった…変態とか思われたらやだなー…)」
そんな事を考えながら、少女は部屋を出た。