小説

□2人は一緒(ヨハミハ)
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「ミハエル…」
ヨハンは隣で冷たくなって横たわる弟の名を呼んだ。
まさか、こんなにも早く死が訪れるなんてミハエルは知らなかっただろう。
自分たちは、造られ、戦わされて、必要が無くなれば殺される。何故、必要が無くなったのか…。ヨハンには知るすべがない。
(ネーナは逃げ切れただろうか…)
そんなことを考えながら、愛しい弟の頭を撫でる。こうやってよく撫でてやったのを思い出す。こうしてやると、とても喜んでいたことを覚えている。しかし、もう遠い思い出となってしまった。
「私たちは…何故生まれてきてしまったのだろう…」
考えても答えがでないと分かっていても、つい考えてしまう。
自分たちはこんな末路を望んでなどいなかった。なのに…それなのに…、こんな運命になってしまった。しかも訳も知らずに…。
腕や足の感覚が失われていく。先程敵に撃たれた傷が深いのだろう。出血も酷い。
ヨハンは永久の眠りについた弟を抱き寄せ、もう一度頭を撫でる。
「ミハエル…おまえは独りではない。…私がそばにいるのだから…」
強く、優しく、弟の体を抱きしめ一粒の涙を零した。






誰も知らない小さな孤島で、哀れな運命をたどった2人が永久の眠りについた。






end.
 

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