檻の中の子供達
□優しい白
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「「…………」」
さっきから、鳳と宍戸の二人はずっと黙ったままだ。
黙ったまま、ただ道を歩いていた。
「……なぁ」
さきに沈黙を破ったのは、宍戸だった。
「…何ですか…宍戸さん」
鳳も重たい口を開く。
「これ……夢じゃねぇんだよな」
宍戸は、確信したように力強い口調で言った。
「信じたくはないっすけど…多分…」
「だよな…」
宍戸はそれっきり、何も言わなかった。
宍戸と鳳の二人はさっき、スタート地点の廃校である事を告げられた。
『これから、殺し合いをしてもらう』
と―――
それを聞いた時、鳳は特に何も思わなかった。
多分、あまりにも予想外なことで、驚けなかったんだと思う。
だって…いきなり『殺し合いをしろ』なんて、頭がついていかなくて、どうすればいいか分からないじゃないか。
一応、ナップザックの中にはサバイバルナイフがあるけど……
殺意なんて、起きるわけ無いし――――
「……おい、長太郎」
「は、はい?!」
声をかけられ、鳳は慌てて顔を上げた。
「…見ろ」
宍戸の視線の先に目をやると、100メートルほど行った所に建物が見えた。
「あれ…」
「行ってみるか。何か役に立つものがあるかもしれないしな」
「は、はい!」
鳳と宍戸は建物に向かって足を進めた。
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