檻の中の子供達
□最初の赤
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「 」
「っ!?!?」
何処からか人の声が聞こえた。
南は咄嗟に木に身を隠す。
声のした方に目を向けると、僅か10mくらい離れたところが少し開けていて、そこには見覚えのある2人がいた。
(不動峰の…神尾と、森…?)
どうやら2人は自分に気付いていないみたいだ。
南はほっと胸をなで下ろした。
「何言ってんだよ!?」
どうやら何かもめているみたいだ。
趣味が悪いと思いながらも、南は聞き耳をたてた。
「お前正気か!?何でお前がそんな必要…!!」
神尾が森の胸ぐらを掴んで叫んだ。
「神尾、これは俺がしなきゃいけないんだ。」
森は首を横に振って言う。
「でも…ッ!!」
「じゃなきゃ、あいつが寂しがるだろ?」
森は、泣いている神尾の手を外した。
「そばにいなきゃ…パートナー失格だよ」
そう言う森の手には手榴弾があった。
(あいつ、まさか…!!)
「!!それ…うわッッ!!」
森は、驚いている神尾を思い切り突き飛ばした。
「今までありがとな、神尾」
そういう森の表情は、微笑んではいるがどこか苦しそうだった。
「森…っ」
「じゃあな」
森が別れを告げるのとピンを外すのは同時だった。
「森ッッ!!」
駆け寄ろうとした神尾を、咄嗟に南は森に引っ張り込んだ。
ドンッッ―
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