視線
□金狐の悲しみ 完
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「そこで寅の印じゃ」
「火遁 円羅抄嵐!」
ナルを囲うように炎がたちあがる
「じっちゃん、できたー」
ナルが九尾の事実を知ってから1年の月日が経った
あの日から三代目は毎日ナルに修業つけている
ナルの実力はぐんぐん上がり今では上忍とも互角に戦えるほどの力を付けている
ナルの上達の速さには三代目も驚きを隠せなかった
そして、孫のように可愛がっているナルの成長を楽しみで仕方がない
それこそ、瓶に水を移すように知識や術を教え込んだ
(九尾のおかげか…もしくは血筋か…どちらにせよ、すざまじい才能じゃ)
「ナルや、ようやった」
術が成功したことに飛び跳ねて喜ぶナルに三代目の目尻も下がる
「さて、ナルや。今日の修業はここまでじゃ」
三代目はいい子にしておるのじゃよとナルの頭を撫でると仕事へと戻って行った
その後ろ姿を見送るとナルは顔を歪めた
「……」
真実を知った今、自分を可愛がってくれる三代目に嬉しくて悲しくてナルは複雑な感情を持て余していた。
ナルは三代目が自分をかばっているせいで周りから非難を浴びていることを知っているのだ。
ナルは軽く頭を振り気分を入れ替えた。
「影分身の術」
ナルは影分身を一体作ると庭の端へとむかった
そこには三代目も知らない秘密の抜け道があるのだ
(じっちゃん、ごめん!)
ナルは心のなかで三代目に謝ると外へと出ていった
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