視線

□愛でられし闇  未完
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白い刃が下弦の月の光に反射する
断末魔と共に最後のひとりが地に伏した

「任務完了っと」

白い狐のお面をつけた青年が指を鳴らすと動かなくなった敵に青い炎があがる

青年の後ろに音もなく舞い降りる人影

青年はお面を取りながら後ろを振り返った

「暗夜、怪我ないか」

現れたのは、輝く金色の髪と蒼い瞳
木の葉の里で唯ひとりの色彩

この青年はドタバタ忍者、うずまきナルトのもうひとつの姿

生まれたばかりの頃、その身に九尾を父親の手によって封印された器
そのせいで、幼き頃から命を狙われつづけてきた

力をつけたのは自分の命を守るため


血筋のためか、九尾のおかげか
4歳になる頃には火影よりも強い力を手にした

暗部に身を置いたのもその頃だった
現在では、暗部総隊長
暗部名は月夜、通り名は月光の使者

出会ったら最後、命はないと他の里から恐れられている



だけど、今彼の顔に浮かんでいるのは溢れんばかりの笑み

その笑みを向けられるのはただひとり

「だいじょうぶだ。月夜はってあるわけないよな」

こちらも月夜にあわせて、黒い狼のお面を取る
漆黒の髪と瞳が現れる


彼の正体は、ナルトと同じ下忍の奈良シカマル
暗部総副隊長としてナルトの隣に立つことを許された唯一の存在

「あたりまえだろ。こんな雑魚ごとき」
ナルトはにやりと笑った

その笑みにシカマルは呆れてため息をつく

「だったら、わざわざ俺がいる必要ねぇだろが」

「だめだ。シカは俺とペアなの」

「あのな、解部のほうがめちゃくちゃ忙しいってわかって言ってんのか」



シカマルの真の能力は力ではなく頭脳だ

解析部隊長も兼任している彼は忙しい

本当ならば今ごろ解析部に篭っているはずなのだが、ナルトに強引に任務に連れてこられたのだ



「なんだよ、シカ。俺といっしょに任務するの嫌なわけ?」

ナルトは眉をひそめて、鼻先が掠れるほど顔を近づけた


「っ///」

とたん、近すぎる距離にシカマルは顔を赤らめた

その反応に笑みを浮かべて、さらに顔を近づけ軽く唇を重ねる
「シカ、かわいい」


次の瞬間、ナルトはシカマルの前から消えた

ナルトがいた場所を数本のクナイが通りすぎる

「シカ、あぶねぇーだろ」
「うるせぇ、あたりやがれ」


さらに、術をぶっ放すが相手は里一の忍
瞬時に作った結界で阻まれる


顔を真っ赤にして睨み付けてくるシカマルにくすりと笑うとナルトは両手を軽く上げた


「俺がわるかった。だから、もう怒んなって」

帰ろうぜと促すとシカマルはしぶしぶながらも頷いた


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