視線

□希望の謎  未完
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「ナルの様子はどうじゃ」
午後の執務室

ナルの修行を終えたシカクは三代目とソファーに向き合って座り、お茶を飲んでいた

ナルはいまシカマルと遊んでいる


「さすが、あいつの子供ですね。上忍の中でもかなり上位の力を持ってると思いますよ」
「そうか・・・」

彼が四代目に就任したとき、シカクも暗部から身を引いた
しかし、その実力は現在の総隊長よりも上に位置する

そんなシカクの褒め言葉に三代目の顔もゆるむ

「ナルちゃんのほうはいいんですが、うちの馬鹿息子がなぁ〜」

シカクから見てナルとシカマルは一様うまくやっていた
ナルが一方的になついているようにも見えるが


ナルが修行している最中は部屋のソファーでお昼寝
それ以外ではナルが話しているのをシカマルが適当に相づちを打っているだけだが


「ナルちゃんはあんなに修行熱心なのに、うちのガキはどうしてこうもやる気がねぇんだ」
シカクは頭を抱えたくなった

「なぁに、まだ三歳なのじゃ。焦らなくてもそれが普通なのじゃよ。・・・・・ナルが特殊な環境なだけじゃ」

三代目の瞳に悲しみが映る


「だからこそ、俺はナルちゃんの修行の件を受けたとき、シカマルに会わせることを提案したんですがね」



「なにもおっしゃらないが三代目もわかっていらすのでしょう?うちのガキが普通とは違うことが」


シカクは真剣な表情で三代目を見つめた


「・・・・・・三歳児では二、三の単語をつなげて片言でしゃべるのが精一杯じゃ。ナルもそうじゃがおぬしの子供シカマルも」


三代目はシカマルと話したときのことを思い出す


他の子供と違い、こちらの言っていることを正しく理解する

返ってくるのは、筋道たてられた言葉


それどころか、こちらの言葉を先読みし、こちらの真意を探る様さえ見せる


ナルを育て、これほど頭の賢い子供はいないと思っていたが

きっと、いや確実にシカマルの頭脳はそれ以上だ



「あいつの場合、初めてしゃべったときからです」

シカクが思うに、きっとシカマルはもっと早くから理解できていたのだろう
頭の成長のスピードに体がついて行かなく、しゃべると言うことができなかっただけで


「しかも、あいつ他の子供や大人の前では周りの子供に合わせて片言でしゃべるんですよ。普通じゃないって自分で理解して演技してやがる・・・・・・」


その言葉をどこか苦しそうに吐き出した



自分の存在が異端だと隠す我が子


シカクは気づいていた

シカマルは興味なさげに、周りを眺めていることを

何事にも関心がなく、やる気がない姿で全てを覆い隠していることを


親である自分たちには普通に接してくれているが、そのうちに何を思っているのか・・・

想像するしかできない





「火影様、あいつに・・・シカマルに真実を話す許可をいただきたい。二年前の真実を・・・ナルちゃんの苦しみと悲しみを」
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