修羅姫様

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授業というものが退屈で仕方がない千姫は視線を感じていた。
石田雨竜という人物からであり、滅却師だというのが手に取るように分かった。
持ち物に滅却師特有のマークがあることとその霊力の並の人間よりはあることだった。
一護の背中をつつく。
「何だよ」
小声で前を向いたまま一護が問う。
「この授業面白くない、ぐらふ?って言うのが全然分からないし…」
「これくらいは中学で習っただろ?」
「中学?なにそれ」
一護は直感的にルキアと同じような雰囲気を千姫から感じ取った。
「義務教育じゃねーか。ボケでもそれは笑えねーわ」
呆れたようにいい放った一護に不快に感じた千姫は鉛筆で背中をつつく。
「いってーな!」
「本当に知らないのに!一護のばーか」

千姫は後ろを向いた一護を睨み付けてノートに向き直った。
一護は死神なのかと千姫を疑いながらも前を向き授業に集中することにした。
そしてそのやり取りを見たルキアは不安に駆られていた。
霊圧は千姫から感じ取れないのだ。
全くわからない上に霊絡が白銀ということだけ。
人間でもない死神でもないならば何者なのか。
もしや自分が大罪を犯してしまったことに気づかれたのかと一抹の不安を感じた。
しかし、はっきり言えば千姫という人物の興味対象は黒崎一護であって自分ではないことが明白なのだ。
全く視線さえも合うことがないそしてその薄気味悪さは増していくばかりだった。
何よりもその容姿は伝説上の人物と酷似しており絵巻物に出てくるかの如く。
ルキアの思考はチャイムが鳴り響くことによって現実へと引き戻される。

そして一斉に女子は千姫のもとへ行き、質問を始める。
普段仲良くしている千鶴や鈴やたつきや織姫などが。
不思議と人を惹き付けるオーラが漂い、高貴な雰囲気が漂うがフレンドリーで。

「へー、家庭の事情ってことは色々手続きとか大変だったんじゃない?」
たつきの声が聞こえて耳を済ませた。
「それなりにってとこだよ。浦原は本当の名字じゃないからこれからはよかったら千姫でお願い」

その一言で疑いが更に強まった。
浦原という名があの胡散臭い店長へと結びつけられるのだ。

「本当に髪さらさらだねーいいなあ」
女子特有のやり取りが聞こえルキアは一度接触するのもありだと思い付く。
「朽木ルキアですわ。よろしくお願いします」
「ルキアね!私のことは千姫でいいから」
そして千姫は朽木家の人間であり死神だとようやく気付いた。
大罪を犯してしまったことも。
内心では面白さが増してきたと笑っていたが、霊力を可能な限り抑えた。


その接触は終わり再び他愛もない話が始まる。
接触を行ったルキアは安心したのだ。
霊力がその少女にはないと考えを片付け、そのまま話に参加した。
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