修羅姫様

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「白玄神、そういえば同じクラスの子達の霊力が上がってるね」
千姫はザシュリと虚の頭に白玄神を刺しながら楽しそうに言った。
「でもあんな撒き餌にここまで虚が集まってくるのもおかしい気がする」

その疑問にきゅうんと刀が鳴く。
ツマラナイという感情がむくむくと膨れ上がる。
生粋の娯楽主義である彼女が一護が倒せるほどの下級虚を何匹斬ろうが楽しさを感じることがない。
始解さえもする必要がないとなればもうチャンバラである。
今ここで井上織姫と茶渡恭虎を助けるのはあまり芳しいことではない。
彼らの能力は恐らく死神でも滅却師でもないのだ。
そして特に井上織姫の能力はかなり特殊だ。
その能力が風に乗って伝わってくるのを感じている千姫は傲った人間となるのかはたまた傲らない種となるのかを見届けたいと思った。
そうしてまた現れたザコを倒していく。
リズミカルに舞うように斬っていくその姿は舞踊を踊っているかの如く。

数時間もすれば井上織姫と茶渡恭虎の戦闘は終わる。
しかしこの異常な虚の発生率は収まることはなく、増え続けていた。
「やっぱりおかしい…何かに従っているような雰囲気さえするし」
「千姫もそう思っておったか」

黒猫ではなく人の姿の夜一が現れた。
夜一もこの騒ぎに驚いて犠牲者が出ないように戦っていたらしく、一向に減らない虚に異変を感じていた。
そのためわざわざ千姫の元へとやってきたのだ。
「そういえばあの死神ちゃんが来て何ヵ月くらい経ったの?」
「白哉坊の義妹の朽木ルキアだ。二ヶ月ぐらいだろうな」
二ヶ月ともなればあちら側も気付いているはずだろうと思った千姫は白哉の妹と聞いて驚いていた。
「義妹?朽木家にあの程度の霊圧の女の子なんていらないんじゃない?」
「白哉坊の正妻緋真の生き別れた妹だから引き取ったらしいがな」
「ふーん、じゃあ流魂街出身ってわけかあ。反対されただろうに、あんな堅物そうな白哉がねえ…」

白哉の意外な行動に嬉しそうにけらけらと笑う。
「なら私の仮保護対象ってことだね」
「相変わらずじゃな…そういうところは」
「それしか存在価値ないもん、私はきちんとした死神でもなく傍観者として位置付けられてるから」

千姫はそう言って悲しそうに遠くを見つめた。
「まずいぞ…虚が一ヶ所に集まり出しておる……!儂はここらの虚を倒す。あちらで楽しめ」
一護と雨竜がいるであろう場所へ向かえと言った夜一に千姫はありがとうと言ってすぐさま移動した。
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