るろうに剣心

□時代が流れる
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人斬りとして暫く暗躍し、人斬り冷鬼は次第に名前を変えて麗鬼と呼ばれるようになった。
桂小五郎が戻ってきたのは悪い噂が流れ、酷い扱いを受けている頃だった。
そして遠い噂で剣心は巴を殺したと聞いた。
あの優しい剣心が愛した女性を殺すのにはきっと理由があったのだろう。
彼は戦場には戻ってくることはなかった。
彼を引退させるように仕向けたのは私自身なのにたまに戻ってくることを期待している自分がいて吐き気がした。

そうして麗鬼として過ごしているものの、何故か新撰組の沖田くんに女だと見抜かれた。
沖田くんに求婚されるようになった。
一目惚れというやつらしく、敵であってもそれは変わらないと言われた。
肺を病んでいるのは見てとれたからいろいろ戦場で見逃してもらった礼として西洋医術と私の独自の薬を開発させてもらった。
戦場と治療の両立は難しかったから看ることはあまりできず、治療は難航した。
沖田くんは少しずつ回復したものの肺を病んだ体だったから戦えるのはまだまだ先だった。

志々雄真実が私の後輩となったのは父上が戻ってすぐのことだった。
真実も私を月にくる女としてものの血の匂いで気づいたらしく何度も迫られた。
極度に寂しくなったときはほぼ強姦まがいではあったものの、彼には体を許してしまった。その後自分の体が穢れている様に感じ、赤く腫れるまで体を洗い続けたが。

そして戊辰戦争が終結し、新時代が明治がやってきた。
沖田くんも私の治療の甲斐があったようで病から生還した。新撰組として土方さんと一緒に死ぬまで戦えなかったことは残念だった様だが。
沖田くんはありがたいことに私のことを本気で好いてくれているらしく、最近ではその思いに応えようかと悩んでいた。
ただ私が好きで仕方ないのは緋村剣心ただ一人。

父上の支えになれたことが嬉しくもあり、幸せだった。
そして私は維新志士という役目を果たした。
日本全国を旅をすることにした。
沖田くんは京で暮らすらしい。
京に立ち寄ることがあれば是非僕のところにも寄るようにと書いてあったから嬉しく思った。
京には私の伝がたくさんあるので仕事をたくさん紹介した。
彼は要領も技量もあるのでいろいろな仕事を上手にこなしていると風の噂で聞いた。

そしてそれから十年が経ち私も二十代の後半に差し掛かった。
流浪はもうやめてどこかで落ち着かねばと感じ始めていたが旅はやはり楽しい。
これで最後にして京に戻ろうと久しぶりに東京に出向いた。
「東京か…さすがは文明の最新といった処だ」
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