プリキュア創作7

□ユニとアイワーンの誕生日
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「ユニ〜誕生日おめでとルン!」
「あー、はいはいあんがとね」
「リアクション薄!ルン!」

 …ってわざわざ私の誕生日をララが祝いに来てくれたのにそっけない態度を取ってしまったわね。いけないいけない。もうすぐ惑星レインボーの王になるんだから客人の対応をちゃんとしないとオリーフィオに怒られてしまうにゃん。

「ほら、私達って誕生日って言っても生産日みたいなものだから同世代の子とみんな誕生日一緒なのよね。あんまり特別感ないにゃん」
「オヨ、そういう私も惑星サマーンだとあんまり祝う文化がないルン。地球にいた時に祝ってもらえて嬉しかったから私もしてあげよう、って思ったけど」
 …どうやら誕生日を祝う文化がある星って今のところ地球くらいなものよね。まあ私の場合、ララに言ったみたいにみんな同じだからより祝う気があんまりないってのもあるんだけど。こう、誕生日くらいはみんなバラバラで良いとは思うんだけど…
「…ってそう言えばアイワーンの誕生日っていつだったかしら」
「オヨ、ユニは知らないルン?」
 まあ誕生日に興味なかったってのもあるんだけど、この際だしいっそのこと聞いてみましょうかね。

「は?誕生日?しらねーっつーの!」
「そりゃそうよね。やっぱり誕生日を祝う文化は地球だけにゃん」
「そもそもあたい、自分がどこの星出身かもわからねーし」
 …ってついアイワーンも自分と同じ、誕生日を祝う文化がないと勝手に決めつけてしまっていたけど、そうだ、こいつは誕生日を知りたくても分からない境遇だったのだ。
 ガルオウガに独りぼっちのところを拾われて、ノットレイダーの一員となった。強いて誕生日があるとするならその拾われた日なんだろう。
「ガルオウガに聞けば分かるにゃんかね」
「ちょ!おめー何でそこまでしてあたいの誕生日知りたがってるっつーの?何か弱み握ろうとしてる?」
 …何だろう、私も元々興味がなかったのに不思議な気分である。ララのことを変な風に言えないわね、これは。
「単に好きな人を祝う口実なら何でも良いって思ってるだけにゃん。こんなイベントでもないとアイワーンのこと祝えないし」
「す…好きって…おめー急に恥ずかしいこと言ってんじゃねー!っつーの!」
 …ほんと、私も地球の文化に、星奈ひかる達に影響されて変になっちゃったかもね。
「好きなら好きで!誕生日じゃなくても普通に言えっつーの!」
「うーん、何だかそれはそれでめんどくさい」
「…おめーやっぱ猫だな。性格が適当」
 猫よ、言われずともにゃん。
「…そうだ、あんたガルオウガに拾われた時にあんたフードしてたでしょ。それが唯一の故郷の手がかりよね。今持ってる?」
「…一応…捨てないでとっておいてあるけど」
「おおー、アイワーンにしてはものは大切にとっておいてあるわね」
「…あたいはものには優しいんだよ」
 …そもそも私もバケニャーンの時に身辺整理とかちゃんとしてたし、こいつの備品みたいなのは割と記憶にあるのよね。確かあのパーカー、裏地までよく見てみると…
「…何か書いてあるにゃん…どこかの惑星の文字、かにゃん」
「でもわかんねー!」
 そうそう当時から謎だった文字だったからスルーしてたけど、よくよく考えたらフワがいたことならスターカラーペンダントの効果で全ての惑星の言葉を自動翻訳してくれていたから、その時に見たら分かったのかもしれない。何だかもったいないことしたわね。
「…まあこのあたいにかかれば?これくらいの文字、調査すればすぐに分かるっつーの!」
「…じゃあ何で今までしなかったのよ」
「いや、言われるまで興味なかったし、自分のルーツとか」
 …そっか、あたなにはもうノットレイダーって家族はいたしね。そしてそれを一度奪ってしまったのも私。だとしたら何だかこのパーカーの文字を解読してアイワーンのかつての故郷のことを知るきっかけを作るならば私からだと、何となく思ってしまう。それで罪が軽くなる訳でもないけど、本当になんとなく。
「ってなことで全ての惑星の文字が分かるプルンス呼んできたにゃん」
「お呼ばれされたでプルンス!ユニ!久々でプルンス!」
「便利キャラ来た!てか最初からこいつ呼べよ!」
 …にしても案外チートキャラなのよね、こいつ。スターカラーペンダントの力なしで全部の文明の言葉分かるなんて。さすがこの宇宙の神のスターパレスに使える従者なだけあるにゃん。見た目めっちゃゆるい奴だけど。
「ふむふむ…どれどれ…」
 そしてプルンスが翻訳する。アイワーンが拾われた時に来ていたパーカーの隅に書かれていた謎の文字、そこに書かれていたメッセージとは。

『ごめんなさい、あなたと最後まで一緒にいることができなかった。でもこれだけは伝えたい、愛してる。どうかすこやかに生き残って、いつかまた会える日が来ますように…お誕生日おめでとう…』

「って書いてあるでプルンス!」
「これって…」
「…もしかして」
 あ、これ今はあんまり気持ちを声に出して表明しない方がいいにゃんかね。まずはアイワーンの気持ちを整理することが大切にゃん。

「あたいを捨てた時に、親とかが書いたのかな」
「…捨てたっていうかこの文書の場合だと、なくなくって感じにゃんね。良かったじゃん、あんた、愛されて生まれたみたいね」
「…しらねーっつーの。愛してるなら捨てるんじゃねーよ…親のエゴだっつーの」
 …まあそれを言われたら私も返す言葉はないにゃんね。ここから先、この親をどう思うかはアイワーンの気持ちにゃん。
「おい、プルンスって言ったな、おめー」
「はいでプルンス!ああ!何気にアイワーンに名前呼ばれたの初めてでプルンス!」
「そういうの良いから!その…この文字がどこらへんの文明の文字か、だいたい予想つくっつーの?」
「え?まあ一度プルンスの故郷の図書館に行って正確な情報を知る必要はあるでプルンスけど」
「…アイワーン、あなた、もしかして」
 …自分のルーツに、興味をもってくれたの?
「勘違いするなっつーの!別に生まれの親に会いたいとかじゃねーっつの!あたいの親はガルオウガだっつーの!」
「あらあら…それガルオウガが聞いたら泣いちゃうにゃんね」
「…でもこの文字を書いたやつ…あたいの誕生日は知ってるっぽいし、それは知りたいと思うっつーの」
 …確かに、誕生日おめでとうとは書いてあるにゃんね。
「…あたいが気になってるのはそこだけだっつーの。自分の誕生日が知れたら、その…ユニと対等に祝え合える気がして…これから同じ存在になるつもりだし、お互いの共通のことは増やしておきたいだけだっつーの」
 …ノットレイダーは親。
 生まれ故郷はどこかにあるもの。
 …そしてこれから生きていく場所を、ここに選んでくれたってことね、アイワーン。
「よーし!じゃあこれからいっちょ!アイワーンの誕生日探しの旅にでもいきましょうかにゃん!プルンス!ナビゲートよろしくにゃん!」
「ええ!プルンスも行くでプルンス!?これでも忙しい身プルンスよ!?」
「そもそも元を辿れば今日はおめーの誕生日だっつーのに何であたいの誕生日探しになってるっつーの」
「…まあまあ、ほら、私も猫だし?興味のあるおもしろそーなやつをくれるのがプレゼントだってことで」
 それにもうすぐこの星の王になったらそれこそ私もこれから自由に動けないだろうし。最後にアイワーンとプルンスと気ままに旅行してもいいかもしれないわね。
 …ああ、誕生日ってなんやかんや、楽しいわね。

「それじゃあ行きましょ、あなたの誕生日探しに!」
「その…できればユニと二人っきりで…そこのスライムはいらないっつーの」
「あ、プルンス、じゃああんたは故郷に帰って情報収集しててね」
「プルンスの扱いが雑でプルンス!」
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