プリキュア創作2

□さあえみ、ひかまどのパジャマパーティ
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「…で、このメンバーは何で集まったにゃ?」
「…えっとね…パジャマパーティをするにしてもほまれやえれなさんが一緒にいるとビデオ観賞会が出来ないので、今回に関しては映画鑑賞会専門のパジャマパーティの面々に集まってもらいましたー」
…はあ、それで星奈ひかるは良いとしても…
「えっと、私とこうしてじっくりお話しするの、初めてですよね、ユニさん」
…愛崎えみるね…確かプリキュアの中でもかなりの年下である。私としても先輩プリキュアであるけど距離感が難しい子である。
まあ普通にタメ口で話すけど。

「…あなた、怖い映画とか大丈夫なの?このお姉ちゃん達だいぶ際どいの見るみたいにゃん」
「えっと…私の場合だと怖いというよりひかるさんのビデオの古い映画のキグルミの造形に興味あるのです!」
「小学生がキグルミとか言わないの」
存外子供っぽくない子よね、愛崎えみる。
「えみるちゃんはどっちかっていうと特撮の方に興味があるんだよね」
「はいー。この頃の映画はキグルミを会社間で改造して使いまわしていたみたいで、よくよく見ると他の怪獣さんの名残とかあって含蓄なんですよね。資料もほとんど残ってないですし」
「うんうん!分かる!ホント、ひかるちゃんの持ってるVHSは資料としての価値も高いよね!」
「いや〜まあお父さんのですけどね〜」
「私の父も言ってましたよ!ひかるさんのお父さんの文献は一度拝見したいと!」
…あらあらまあまあ。
…一見仲良し二人組がバラバラになった集まりのように見えて、案外この四人の趣味って繋がってたりするのね。
「…あ、でもユニさん。こういう映画は興味ないですよね…」
「…いや、別に。変装の勉強にもなるし。まあ飽きたらそこらへんで寝るけど」
「あー、良かったのです!一緒に映画観ましょうね!」
「…にしても、一つ疑問何だけど…」
…結局ララじゃないけど、私も異星人なので何気ない一言でみんなを傷つけてしまうかもしれない。そう思いながら一応慎重に言葉を選ぶとするなら…

「…こういう映像を見るのって、地球では『えいがかん』でもっと大勢の人と効率良くみるんじゃないの?」
「あー、ユニ。この機械は自分の家で見る用なんだよね。映画館とはまた別の機械なの」
「にゃるほどね」
まあそこらへんのメディア再生機能って、ゼニー星のオークションでもよく見た気がする。
「それにこの映画、まだDVDが発売されてない超レアなの!」
「…何でDVD発売されてないの、普通有名なのってしてるんじゃないの?」
「…それは…有名な映画じゃないから…」
「…なのにこの四人は喜んで見てるのね…」
…何て言うか、星奈ひかるは分かるけど…
「薬師寺さあやや香久矢まどかって、色んな人から頼られる『普通』の人間のように見えて、案外変にゃよね」
「…う、まあ私の場合は自分の『変』を演技で隠してた時期があったから…多分この『変』を外に出したらみんなから幻滅されたり迫害されると思ったから、つい隠してたのよね…」
…っと、いつもはサラウンドに優しい薬師寺さあやがげんなりしてしまった。
「…何か私、変なこと言った?」
「ああ!いいの、気にしないで!ユニちゃん!」
「そんなことないですよ!さあやさん!私だって自分の趣味をこれまで色んな人に茶化されてきましたけど、一人で楽しんできましたから!その孤独?っていうか寂しさは分かるから、隠すのも無理ないと思いますよ?」
…っと、意外なことに星奈ひかるが薬師寺さあやをカバーしていた。
「…ひかるちゃん、あなたって、強い子なんだね。周りからどうこう言われようが自分の『好き』を前に出せるなんて」
「えへへ〜、そのせいかあんまり友達いませんでしたけどね〜。さあやさんの立ち回りも私からしたら羨ましいものですよ〜」
…ふむ、処世術は違うように見えて、ひかるとさあやって案外根は一緒なのかもしれないのね。自分の変な趣味を隠すのか、他人からどうこう言われようが貫くのか、の違い。。
「…わたくしの場合はむしろ家のお稽古が忙しくって自分の『好き』を隠すも何も見つける時間が少なかったですね。今こうしてひかるさんやお友達と集まってみんなでビデオを見るって体験、初めてですごく嬉しいです」
「…私は逆に愛崎家に反抗してでも自分の『好き』を押し出して、おじい様から白い眼で見られてましたね。ある程度おうちの方の御許しを得てから楽しんでいる香久矢さんの立ち回りが羨ましいのです!」
…っと、こっちは香久矢まどかと愛崎えみるで妙なシンパシーを感じているようだ。

「…あんた達って」

四人とも微妙な雰囲気になってきたので、何故だか私がまとめることになってしまった。

「…今こうしてお互い無理することなく、気兼ねなくパジャマパーティ出来て良かったにゃね」

「「「「ホントホント…」」」」

薬師寺さあやには薬師寺さあやの悩みがあって
星奈ひかるには孤独
香久矢まどかには不自由
愛崎えみるには強制

がありつつも、お互い自分のそんな『負』の部分も受け入れて楽しめて、より楽しめている今がある。

一人でも楽しいし、みんなでも楽しい。

「お互い自分の心の中の宇宙の中で孤独でいるようで、孤独だからこそ個性として独立して星々のように宇宙を形成してるにゃね…」

「う…ユニ…何だかよく分からないこと言ってる…」

…うむ、私でもよく分かってない。けど。

「…パジャマパーティをすることで、こういう宇宙の共有もできるのね」

…私もつい最近まで孤独だったけど、みんなと触れあえて宇宙を広げられることができた。
これからまた衝突しちゃうこともあるかもしれないけど、バラバラだと思える私達がこうして一つのビデオで一致団結出来るこの瞬間を。
私は多分、忘れることがないと思うにゃ。

「…ま、これからお互い色々あると思うけど。否定し合わないでお互いの個性を尊重しあっていきましょう」
「ふふ…ユニちゃんも変われたよね」
「キラやば〜、だね!」
「今度一緒にライブでシャウトするのです!」
「わたくしもピアノで参戦します!」

…ホント、バラバラなんだから。
けど、お互いの宇宙が虹色みたいで、不思議な空間にゃね。
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