プリキュア創作

□47話、さあやとほまれとハリー
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ビシンとリストルとの戦闘中、生身のハリーが二人の攻撃を受け止めてしまった。
「ハリー!危ない!」
ドシン!
っと鈍い音が響く、しかし。
「こんな気合いの入ってない拳!きかんで!」
ハリーは苦笑いをする。
…ビシンとリストルは私達プリキュアの身体能力でもダメージが通ってしまう。ハリーは痛みで苦しいはずなのに、どう見てもやせ我慢だ。
「止めないと!」
しかし。
スッと。
ほまれの腕が私を遮る。
…ほまれ、いいの?ハリーがこのままだと…
だけど私の心配とは裏腹に、ハリーは封印を解いて化け物の姿になっていく。一瞬ヒヤリとはしたけど、彼の言葉はしっかりと正気を保っているものだった。
…ほまれ、あなたは彼のことを信じてるのね…何も言わず、見守ろうとしてるの…
「ビシン、リストル、もうやめようや
俺の体はもう戻らへん…けど
俺は自分を受け入れて、未来へいく!
リストル、もう自分を責めるのはやめろ!」
「俺にもう…心など…」
「お前は俺らの…兄貴やろ!
仲間が家族が心をなくして苦しんでる時に、ほっとけるか!
一緒ならやりなおせる、俺たちの未来を作ろう!」

…言った。
ハリーの勇気ある行動でリストルは目を覚まし、ビシンも彼とほまれの包容で救えることが出来た。
…私はただ心配で止めようとしちゃったけど、ほまれはこうなることが分かってたから私を止めたんだよね。
…大人になったなあ、ほまれ。置いてけけぼりにされた気分だ。
「…ありがとうね、さあや」
ふと、ほまれから予想外な言葉が飛んでくる。
「…え、私はただ…何も出来なかったよ?」
「そんなことないよ、私がハリーのこと信じて見守れたのは、さあやの真似をしたからだよ。さあやだって私のことを思ってずっと見守ってくれてたんでしょ。本当は心配でたまらないけど、『本人が勇気を出さなきゃいけないその時まで見守る』勇気って、こんなに辛いことだったんだね…けど時には見守る優しさと勇気が大切な時がある…さあやが私に教えてくれたことなんだよ」
「…そ、そんな、私は」
「私に出来ないことは、あなたには出来ます。あなたに出来ないことは、私には出来ます…」
「…!」
…いつか、どこかで聞いた言葉を、ほまれは反芻するかのように言う。
「…恥ずかしいけど聞いてくれる?これから私はさあやみたいになるのが夢なの。これまでの自分にはなかったものを持っていてくれたさあやに恩返しすることが今の私のなりたい私なの。だからさあやにはこれからも自信を持って、私の目標でいて下さい」
「私だって…」
…少し前の私なら、この場面でもハリーに嫉妬していただろう。 
けど今は違う。ほまれは私だけを見てくれていた。すごく嬉しい…けど泣いてる場合じゃない。
ほまれがそう信じてくれた私であれるように。
ハリーよりも素敵な関係になるために。
私だってほまれみたいになりたいよ。そんな未来のためにも、最後の戦いに集中しなくちゃね。
…ハリー、ありがとう。最後まで真摯でいてくれて。ほまれのこれからは私に任せてね。
「いってえええええ!やっぱり痛いわー!」
っと、案の定やせ我慢だったみたいで、ハリーは緊張の糸がほどけたみたいにヘタれてしまった。
「…まったく、最後までかっこがつかないんだから!」
「ワ、ワイはいつだってかっこええやろ…」
「はいはい、じゃあアンジュさん、ハリーを癒してあげてね。私には出来ないからそこんとこよろしく」
「…うん!」
私はハリーに癒しの光を浴びせる。これまでの感謝も含めて。
「ありがとう、ハリー」
「礼には及ばん…これからも、みんなを、ほまれを頼むな、さあや」
「…はい」
「…不思議なもんやな。やっと、さあやとちゃんと話せた気がするわ」
「…私も」
でもこれからももっともっとちゃんとお話しようね、ハリー。私達同じ人を好きになった者同士だもん。
…そんな未来を守るためにも、最後の戦い、絶対負けないように。はぐたんを、トゥモローを取り戻そう。

「それじゃあ行くよ!みんな!」

私達は羽ばたく、最後の決戦の地に向けて。
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