プリキュア創作

□44話後蘭世ちゃん
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わたくし、一条蘭世…女優をやってるのですけど最近ライバルの薬師寺さあやが引退をしてしまって目標がなくなってしまって少しだけ落ち込んでますの。
…いいや、あの子はあの子なりの夢に向かってますものね。私は彼女があとで羨むほどの大女優になって見返してやらないと…
「はあ〜それにしても年末年始はお仕事が立て込んで忙しかったですの…病院に行って少し診てもらおうかしら…って」
「蘭世ちゃん!?何でこんなところに!」
はぐくみ市の病院に行ったら、何故か薬師寺さあやと鉢合わせになってしまった。
ああ、そういえば新しい夢はお医者様になることでしったのね。こんなに新年早々から勉強していて、ちゃんと夢に向かってるようですね。
…それでこそ、元私のライバル…
「ふふん!貴方がちゃんと新しい夢に向かえてるのか見に来てやったのですの!感謝することですわね!」
「そうなの蘭世ちゃん!ありがとう!」
…う、相変わらず裏がない笑顔。このすっとぼけ具合も相変わらずのようですわね…
「って薬師寺さーん、リハビリのことで相談があるんだけどー」
っと、廊下の向こうから松葉杖を付いた顔立ちの良い殿方が薬師寺さあやの元に向かってきた…ってあれは…
「若宮アンリ!?あの天才スケーターの!?」
「はは、『元』ね。今は薬師寺さんの
元でリハビリ中」
「もう!だからアンリ君!私はまだ無免許だから勝手に意見を求めてこないでよー」
「えーでも薬師寺さんのアドバイスって実際的確だしねー」
…ああ、まだ免許も取ってないってのに有名選手から全面の信頼を得ている…薬師寺さあや…既にお医者様としてそんな地位を築いているとでも言うの…
「ってこらー!アンリ!さあやは私の専属医の予約してるっていつもしてるでしょー」
「って今度は輝木ほまれ!?」
続いても天才スケーター!しかも今度は現役選手からのオファー!
…あわわ、ど、どんだけ免許取る前から実績を重ねてるとでも言うんですの…
「だからほまれもアンリ君も私に頼らないでーーーー!!!」
あ、怒った。
「そういう所は相変わらず頑固のようですね、薬師寺さあや」
「もう、蘭世ちゃんまで…」
「「おお、おう…」」
…って、何故かわたくし、天才スケーターの二人から変な目で見られてません?
「すごい、薬師寺さんと何か対等っぽく話してる…」
「…へ」
「…一条蘭世さんだっけ。さあやとは昔からの友達でもあるんでしょ。すごいなー、私の知らない昔のさあやも知ってるんだね。ねえ、今後一緒にカフェとかで昔のさあやの話を聞かせてよ!」
っとまつ毛の長くてお人形さんみたいでもありながらかっこいい女子のほまれさんに言い寄られてしまう。
「あ、あのその…はらほれほまほま…オヨですわ〜」
「…あれ、蘭世ちゃん…?」
薬師寺さあやの冷たい手が、わたくしの額に当てられる。
「ひゃ!」
「…少し熱があるね。年末年始でお仕事で無理しちゃったのかな?そもそも診てもらうために病院に来たんだよね。ごめんね、無理させちゃって」
額から手を捕まれて、子供の時みたいに引っ張られるわたくし。けどあの時とは違って無理矢理引っ張るようではない。優しく、それでいて誰かを助けることを優先するような強い腕だった。
「ほら、ほまれもアンリ君もどいてどいて。要求助者のお通りでしてよ!」
「よ、要求助者なんてそんな大袈裟な!」
けれども二人とも、決して馬鹿にするような目ではなく、『…ああ、これでこそ知ってるさあやだ』と見守る雰囲気だった。
…本当は、わたくしこそこの薬師寺さあやをよく知らないんですよね。
このメンバーと関わって変わっていった薬師寺さあや。
それがあなたの、女優よりも大切なことを見つけられた薬師寺さあやなんですよね。
「わたくし、負けませんから…舞台は違っても」
「…うん!風邪なんかに負けないでね!蘭世ちゃん!」
…ああ、伝わってないみたい。
やっぱり根はそのままのようですわね。
…見ててね、わたくしも頑張るから、さあやちゃん…
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