プリキュア創作2

□ユニVSあくまのたこ焼き
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「はあ〜、この間は薬師寺さあやに悪いことしちゃったかにゃ〜」

夏祭りの日、私は花日のポスターを見てしまって不意に惑星レインボーのことを思い出してしまった。
…楽しい雰囲気だったはずの夏祭りも一変、私は意地になってしまって逃げるようにみんなの前から逃げ出してしまっていた。
…せっかく気を遣ってもらって、みんなは何にも悪くないというのに。
…そうしたら同じく異星人のララに諭されて、テンジョウとの戦いでみんなの力も借りて、私は無事観星町のみんなとは仲直りをすることは出来た。
…ただ、夜も遅かったので仲直りしたのはひかる達だけで、先に帰ってしまったのびのび町の面々への謝罪は後回しになってしまっていた。
…特に薬師寺さあやにはいつもお世話になってるし、あの時も輝木ほまれに説明してくれていたようだし、あの子にはちゃんと面と向かって謝った方がいいだろう。
…だから特別、って訳じゃないけど、今回はお祭りで見つけたあの子の好きそうな『お土産』を持って薬師寺邸にお邪魔しようとしていた。
…ふふ、いつも盗んでいたばかりの私が誰かに分け与えるなんてね。これも変化のうちのひとつかしら。

「にゃっはーん!お邪魔しますにゃー!薬師寺さあやー!」
「ぎょ!あ!あなたは!?」
「…魚…?」

…部屋に入ると、待ていたのは薬師寺さあやのおしとやかな声ではなく、何となく聞いたことのある乱暴そうな声だった。

「あーーーー!あなたは!」
「そういうあなたはえっと…確かブルーキャット…でしたっけ?」

…前に薬師寺さあや邸で鉢合わせになってちょっと喧嘩別れみたいになってしまった、一条蘭世という、姫ノ城桜子と似た子とばったり薬師寺邸一室で出会ってしまった。確か薬師寺さあやの母親、薬師寺れいらと仲がよくてよく遊びにきていると言っていたが、ダブルブッキングになってしまったのだろうか…
…っていうか

「あなた、よくこの姿の私がブルーキャットって分かったわよね。匂いとか?」

地球人にも嗅覚の優れた者とかいるんだろうか。

「…いや、まあ声で…」

まさかの聴覚だった。

「…あとは…見た目?でしょうか。一応わたしくこれでも芸者やらせてもらってるので、衣装や見た目が変わっても人の中身や演技を見分ける自信はありましてよ」
「ほっほー」

聴覚だけでなく視覚的な観察力も優れているとはね、意外と馬鹿にならない逸材にゃね。

「さすが、薬師寺さあやがいつも誉めてるだけのある人材にゃね」
「えええ!!!さあやちゃんが!そんなわたくしの前ではそんなこと言わないのに!!!う…う…」
「?体調でも悪いの?」
「うへへへへへへ…やばい…嬉しすぎて笑みが…へへ…へへ…」
うう、こいつ気持ち悪いにゃ!あんまり関わらない方が良いにゃね…
「ま!わたくしはあの天才薬師寺さあやに勝った更なる大天才、一条蘭世ですものね!それくらいの気品はあっても問題ないですわよね〜!!!おーっほっほほほ!!!」
「あ〜、何か私用事思い出したのでそろそろおいとまさせてもらいますニャ」
「…あ、ちょっと待って下さいまし。あなた何か薬師寺さあやに用があったんじゃなかったんですか?私が邪魔したなら謝ります」
…あら、意外と気配り出来る所もあるわね。そこも薬師寺さあやの元ライバルたる由縁かしら。
「…それに、あなたには前に失礼なことしてしまいましたからね。今更ですけど謝らせて下さい。前は無理矢理ネギ食べさせることしてすみませんでした。ブルーキャットさん」
「…ユニよ」
「…その姿の名前、ですか?」
「…ええ、それにあの時のことはもう良いのよ。お互い知らなかったし、私もトゲトゲしてたしね」
「…今はトゲトゲしてないんですね」
「…ま、ハリは抜けてきたのかにゃ…?」
それでもたまに傷つけてしまうこともあるけど。
こうして、バケニャーンの時とは違って、今の私には『謝れる機会』がまだ残っている。
…今だって、一条蘭世とこうして他愛のない会話が出来るくらいに。
「…って思い出した。薬師寺さあやにこの『あくまのタコ焼き』を持ってきたんだった」
一条蘭世から逃げようとして持って帰りそうになった袋を、改めて机に置く。
「おお、これは隣町でやってた観星町のお祭りのたこやきですね」
「…ええ、あの子って辛いのもたこやきも好きでしょ。きっと気に入ると思って。一緒に食べようと思ったけど…どうやら今日は留守みたいね。あなたに預けてもいいかしら」
「…ええ、それは構いませんけど…」
「けど…」
「…このタコ焼き…」
「?」
「辛みネギ増し増しで入ってますわよ。大丈夫ですか?確かネギアレルギーのお持ちでは」
「げ!そうだったにゃ!」

縁日でもお好み焼きとかで何回か泡吹いて倒れそうになったけど、ああいう屋台のものって何かとこっそりネギが入っているのでこちらとしては死活問題である。

「にゃ〜、助かったにゃ。ネギマスターのあなたがいなかったら危うくこの部屋で死んでるところだったにゃ」
「…死なないで下さいよ…さあやちゃんこれから医者になるんですから…あとわたくしは別にネギマスターではないですからね」
「…ま、これにて貸し借りはなしってことで良いかしらね、一条蘭世」
「…蘭世、で良いですよ。わたくしもユニ、って呼んでいいかしら」
「…ご自由に」
「じゃあたこ焼きのネギとってあげますね」
「…よろしくにゃ」

…テンジョウには裏切りものはどこまでいっても裏切り者、って言われたけど。
こうして、私にはまだ仲直りが出来る。

…いつか、もう一度向き合うからね、アイワーン…
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