プリキュア創作3

□ダークネストとカッパード
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『ふふ…ただのノットレイではやはりこの程度か…』
「………」

…何の御戯れか、ダークネスト様が直々に傀儡を操るノットレイスーツの構成員を操ってプリキュア達にいよいよ接触を果たした。
中身はただのノットレイではあるが、かつて私が受けた間接的なエネルギーと違って伝導率がかなりいいらしく、一人でプリキュア壊滅寸前まで追い詰めたらしい。
キュアスター…星奈ひかるとの一対一での対戦でも優位に立っていたというし。
…いよいよ、ダークネスト様が器入手の為に本格的に動き出すとでも言うのだろうか。
…それにしても。

ドサリ、っとさっきまでダークネスト様の傀儡として動いていたノットレイは意思のない人形のように倒れ込む。

『…多少強度が足りなかったがまあまあ持った方か。ガルオウガよ、これを片づけておけ』
「はっ!」
そういってガルオウガ様は意識を失ったノットレイを抱きかかえる。
「…大丈夫か。ダークネスト様の力を直々に受けたのだ。ゆっくりと休むがいい」
っとガルオウガ様はノットレイを労ってはいたが。
スタスタスタと、そんなノットレイに目もくれず元の場所へと戻っていくダークネスト様。
「…ダークネスト様」
『何だ、カッパードよ』
…別に、この方のやり方に意を唱えようと言う訳ではない。
タイミング的にちょうどノットレイの扱いに物申すみたいになってしまったが、こいつも戦士のはしくれだ。
今更道具のように使われたこと自体は覚悟の上だろう(ちょうどテンジョウがいなくて良かったとは思うが)。
私もこの方に御身を助けられた立場だ。指揮系統を乱すような義理に反したことをするつもりは毛頭ない。
ただ、一言だけ聞いておきたいことがあった。
戦士として、ノットレイダーとしておよそ一年程プリキュアと戦ってきた者として。

「…星奈ひかる…キュアスターは強かったでしょうか…?」
「おい、カッパード!失礼だぞ!ダークネスト様に対して!」

…それは分かっているつもりだ。上の者が帰ってきて早々私の立場から聞くことではないのだが。
かつてガルオウガ様がキュアスターを圧倒した時も、聞くまいと思って思いとどまったが。
この方が、彼女と接触して何を思ったのか、気になってしょうがなかった。

「…キュアスターは強いです。プリキュア達のイマジネーションを束ねる中心人物であり、彼女の成長と戦力を常に最新の情報に更新しておくのが戦いにおいては最重要です。できればで構いません。ダークネスト様から見たキュアスターはどのような相手だったでしょうか。ご意見を頂戴したいです」

…返答次第では。

次にダークネスト様の傀儡になる覚悟をしておいた方が良いだろう。

『星奈ひかる…キュアスター…』
「…はい」
『確かにカッパード、お前の言う通り奴がプリキュア達の中心人物だ。プリキュアだけではない。周りの人間達を巻き込んで変えていく影響力のある人物だ。戦闘力以上にやっかいな存在と言える』
「…左様ですか」
…何だかその言い方だと戦闘力より指揮を高める存在に捉えているように思える。
…それもそうなのだが、特に今回は初めての大気圏内上層での戦闘だったのでその環境下におけるキュアスターの空中機動の情報など聞きたかったのだがな。
…それでも、ダークネスト様も彼女の特異性に気付かれたのだろうか。
「奴は周りの人間、AI、宇宙人を変えていく恐ろしさがある…それはカッパード、お前もそうだ」
「…私も、ですか」
…はて、第三者から見たらそうなのだろうか。
「キュアスターとの接触を経て以来、お前の単純な戦闘力は飛躍的に向上した。他の幹部と違って常に単身で戦っているお前だからこそ言えることかもしれないが。地球に来て星奈ひかると戦って一番影響を受けたのはお前だ、カッパードよ」
「そ、そうなのですか…」
…全然自覚ないけど、ダークネスト様って案外私達のことも見ているのだろうか。
『が、戦闘力は上がったが、お前の中の歪んたイマジネーションは矯正されつつある。その点に関しては弱くはなっているがな』
「わ、私の中の歪みが?」
星奈ひかると出会ったことで、変わって行っている?
そ、そんな、バカな…
『…これはお前に限った話ではないが、アイワーンはキュアコスモと、テンジョウはキュアソレイユと接触して以来、歪んだイマジネーションの発生率が低下している。微弱ではあるがガルオウガ、お前も先日のキュアセレーネとの戦闘以来似たような症状が発症している』
「な、何ですと…」
…ほう、アイワーンとテンジョウは確かにそう思ったが、まさかガルオウガ様までとは。
…それにしても本当にこの方は、我々のことを実はよく見ていたのだな。
伊達にこれまでならずものを統治してきた訳ではないか。
『お前達は薄々思っているはずだ。もしかしてプリキュア達は、違う選択肢を取れた、違う可能性の自分の人生の追体験をしているのではないかと』

憎しみに対して向き合えたキュアコスモ
差別を乗り越えられたキュアソレイユ
自分で自分の道を選ぶことができたキュアセレーネ

『どんなに強い敵が来ようとも、心折れることなく戦い続けることの出来るキュアスターに。お前はかつての自分と重ねている』

自分もあんな人生を歩めたら
けどそれを認めてしまえばまるで

自分の人生が弱く誤った選択をしたのではないかと

認めてしまうようで

本当に敗北しているようで

最悪な気分になる。

『歪め、カッパードよ。世界を、ただ恵まれている環境にいるキュアスターに本当の宇宙の残酷さを伝えれるのはお前の役目だ』

お前にもう、私の力はいらないだろう。

ゆけ、次はお前がキュアスターと決着を付ける番だ。

「…何を言われるかと思えば…」

結局、私にとってこの方はやはり信頼できる人だと改めて思えた。

…私は何を迷っていたのだろうか。

今度こそ、星奈ひかるに教えてやろうではないか。

「宇宙には、お前の想像も出来ない恐怖があるということをな…ふふ…」

待っていろ、私の最大の歪みを与えてやる。
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