プリキュア創作3

□年末のさあユニ
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「そっか、ユニちゃん、ロケットに住む様になったんだね。やっと」
「そうルン。トゥインクルイマジネーションもそろっていよいよ惑星レインボーを元に戻せる目途が立ってきた、って時に限ってやっとユニも大人しくなってきたルン」

クリスマスも終え、勉強も一応は区切りがついて年を越せそうになってきた私だけど。
…ユニちゃん、そんなこと一言も言ってくれてなかったよな。
…そりゃ当然だよね。元々違うチームだし、そもそも私も忙しかったから彼女も気を遣ってくれただろうけど。
前は気が付いたら私の部屋に昼寝をしにきてくれる彼女と出会う頻度は確かに減っているように思えた。
…住む場所がやっと決まったならそれに越したことはないし、別に私に報告する義理だってない。
ただ。
一緒に遊んでた猫さんが急にいなくなる感覚って、こんなものなのかな。
せっかく、最近こたつ用意したのに、あんまり使わなかったな。

「ただいまー」

っと、意味がないと分かっていながら私は自分の部屋に入る時に、そう言ってしまう。

「おお、おかえりにゃん。薬師寺さあや」

っと。
私の心配とは本当に裏腹に、普通ににゃんこはさも当たり前のように私の部屋にいた。
言ってしまえば彼女はネコでもなければそんなに気を遣うタイプでもない。
普通の友達であった。
相変わらず来る時はいつの間にか忍び込んではいるんだけどね。
…っていうか…

「うわ!ユニちゃん!私の部屋で何大きい布広げて裁縫してるの!」

別に怒る訳じゃないけど、それにしても自由に使うわよね!

「ああ、もうすぐまた知り合いのコスプレお姉さんと一緒に大きいイベントに出るからそれの準備にゃんよ」
「ああ、あのイベントね…」

よっこらしょ、っと私は自分の部屋にありつつも久々に暖かくなっているこたつの中に入る。

「薬師寺さあやは出ないの?」
「…出たいのは山々だけど、さすがに受験生だし、今年はパスかな」
「それじゃあ来年にゃね」
さも当たり前のように作業を続けながらそう返してくれるユニちゃんだけど。
本当は聞かない方がいいと友人としてはブレーキがかかる。
けどユニちゃんはその何て言うか。
そのブレーキを取っても良いと思えるような、不思議な関係になれていると私は勝手に思ってしまっている。
…私だけが一方的にそう思ってたら悲しいけど、何だか今言わないといけない気がして私は言葉を先走らせてしまう。

「…惑星レインボーが元に戻っても、また地球に遊びにきてくれるの?」

…ハリーやルールーには遠慮して聞けなかった故郷のこと。
もしここで嫌われるようなら私も思い残すことはないんだけど。
相変わらず、ユニちゃんはギアをニュートラルのまま適当に答えてくれる感覚が肩透かしで在りつつも心うちは何となく暖かくなってしまう。何だろうな、この感覚。
「にゃー、それは実際に復活してみないことには分からんにゃーね。まだノットレイダーとの戦いは終わってない訳だし」
「…そりゃそうだよね…」
「けど」
「うん」
「地球での暮らし、あなたとこうしてる時間、楽しいし居心地は良かったにゃん」

また、当たり前のように嬉しいことを言ってくれるユニにゃんは。
あっけらかんとではなく、私と目を合わせて言ってくれていた。

「友人ってこんなもんなのかしらね」
「…いいの、私なんかがユニちゃんの友達で」
「さあ、私も初めてだからよーはわからんにゃー」
っとちょっと重いことを言ったらまたちくちくと裁縫に戻ってしまうユニちゃん。
…私もはなやほまれ達くらいとしかちゃんとした友人関係を築けなかったけど。
確かにこの胸がちくちくするような自分でもめんどくさいな、って思う感情は、友達だから持つものなのかな、って思えた。
「…っていうかロケットに住むようになったんだからそっちで裁縫すればよくない?」
っと言いつつ私も手伝おうと裁縫セットを持ってきてしまう。
「ああ、知ってたのね。一応便宜上はね。けど向こうは向こうでララやプルンスと共同生活だから気を遣って大変ニャよ」
「ああ、そうか、プルンスとも一緒に暮らすことになってるのね…」
…それはそれでどうなんだろう。本人達が気にしてんきゃ良いんだろうけど。
「あいついちいとぐちぐち生活のルールーとか口出して来てめんどくさいとは思うにゃん。一緒に暮らす相手間違えたかもしんないにゃん!」
「はは…」
私が言うことじゃないけど、何だか本当に付き合ってる者同士みたいな会話で少し恥ずかしいな。
「薬師寺さあやと一緒に暮らしても良かったけど」
「え」
「あんたも今は忙しそうだし、それに本当は輝木ほまれのことが好きなんでしょ」
「ちょお!」
あなたも急にぶっこむ子よね!知ってたけど!
「だから邪魔しないようにしないとね」
「…お気遣いありがとうございます…」
…にしてもはなは割と空気読んで達観してくれているけど。
私とほまれの仲をずばり言ってくれる存在も、ユニちゃんくらいだろう。
「私、あなたと輝木ほまれの関係。好きだから応援してるにゃね」
「…ありがとうございますほま…」
「惑星レインボーを復興しつつも、地球に残ったそんな星座の線みたいな人間関係が気になるから、フワのワープ使ってまたちょいちょい様子見にくるつもりだけど…」

またこうして
友達みたいに受け入れてくれるにゃん?

「いいよ」
「ありがと」
「あ、そこの刺繍の糸。原作の設定だとこっちの色がいいよ」
「おお、ありがとにゃん。私この作品見てないけど、コスプレして大丈夫かしらにゃん」
「…今その話題がネットで挙げられてるからね。私でよければ多少は予備知識教えたり原作漫画貸すけど…」
「おお、よろしくお願いするにゃん。いやー、やっぱり薬師寺さあやの家に遊びにきて正解だったにゃね」
「いきなりコスプレ衣装一から作ってるとは思わなかったけど」
「…迷惑?」
「別に。いい息抜き。ハロウィンの時思い出すほまね」
「そ」

ちくちくちくと。
普通の友達みたいな会話をしながら裁縫の手を進める。
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