プリキュア創作4

□ちゆとひなたの勉強会
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「ちゆちー、勉強おせーてー」
「いいわよ、ひなた」

水族館からの一件以降、ひなたの方から勉強を見て欲しいってお願いしてくるようになってくれてたまにこうして図書館をお借りして年相応に勉強会を開いていた。
私自身も人に教えることで復習にもなるし、ひなたとのコミュニケーションにもなるので有意義な時間だった。
案外人への気遣いがとっても繊細だし、教えたらちゃんと吸収してくれるひなたと友達になれて私も楽しかった。
…プリキュアになれなかったら、こんな時間も出来なかったのかな。

「ってもうつかれたよーん」
「早!まだ五分も経ってないわよ!」

…けどこの集中力のなさは未だに慣れないところである。瞬発力はあるから適材適所だとは思うけど。

「だいたい勉強とか将来なんのためになるんでしょーかねー、沢泉さん」
「え、受験勉強や進路の選択肢を増やすためじゃないの?」
「もっともな意見!」

…っていけないいけない。実際そうではあるんだけど学生らしく模範解答で言うなら…

「…って確かに何に使うか分からない知識だけど、実際旅館のお手伝いとかしてても義務教育で学んだことって最低限の一般教養だって分かるわよ。確率論とか方程式とか経営や庶務でも使うし、外人さんとおしゃべりすることも多いからどこの旅館も英語は必須よね。できたら機械工学のことも学んで河合さんのお手伝いも出来るようになりたいし」
「おおー、そう言えば前に言っていた光合成の話もプリキュアに通ずるものもあったし、地表や地理のお勉強はそのまま地球のおてあての知識にも繋がるかもね」
「そうそう」

そうやって何でもかんでも関連付けるのはよくないかもしれないけど、要はそういう基礎知識があれば知識の横展開とか出来るのである。発想を組み合わせるのはどちらかというとなぞなぞに近いところはあるかもしれないけどね。
「将来やることまだ決まってないのなら、とりあえずプリキュアのことについて関連付けて覚えればいいんじゃない?」
「そだねー。補修なんか受けてメガビョーゲンが出てた時にいけなかったら困るしねー」
うーん、ちょっと伝えたいことと違うけどまあひなたらしい発想で考えてくれたならよしとしよう。
…っていうかいるのかしらね、補修を受けるプリキュアとか。HUGもスタの皆さんもみんな秀才だったから、プリキュアって頭良いイメージだけどどうなんだろう。

「…って、あ」

そんなことを考えていると今日もらったワークを一緒にしてたんだけど、ひなたのところの解答やら漢字が間違っているのに気付いてしまった。

「ちょっとひなた、ここミスってるわよ。こういううっかりミスは本当に人生勿体ないことで台無しにするから気を付けてね」
「ふわーい」
「あとノートの取り方が汚い。メモすることで覚えるって言ったでしょ。一回目は汚くても良いから、それを整理する為にもう一度ノートを自分が確認する用に書きかえるのも大切よ」
「ほーい」
…って適当な返事をして…
って怒りそうになるけど、言われたとおりもう一度真っ白なノートに今日の殴り書きみたいなメモの大事なところを整理し始めるひなた。
それを見て私もハッとする。
「…あ、ひなた…その、私また怒るような言い方しちゃったかな…」
水族館の時もそれで怖がらせてしまったのに、反省していないのはむしろ私の方だとしゅんとしてしまう。
「え?何で?」
そんな私の心とは裏腹にこれまたのほほんと答えるひなた。
「ひなた、私のこと、怖くないの?」
「ああ、最初のころは怖かったけど、それって誤解だってわかったっしょ。今も正しいことをわざわざ分かりやすく教えてくれて助かったよ、ちゆちー。せんきゅー」
…って。
「…何だかこれはこれで調子が狂うわね…」
「うぇー!じゃあどうすりゃいいのさー!」
…っと相変わらず噛み合わない私達ではあるけど。
「ま、ちゆちーが本気で怒ってるの。シンドイーネとの戦いでちゃんと分かったからさ。『お手当てするわよ!!!!』のテンションじゃない時は基本的にそれがちゆちーの普通なんでしょ」
「…あ」

…考えてみたら私もまだよく分かってはいないけど。
…そうよね、私自身、ひなたのこと以上に自分のことが自分で一番よく分かってなかったかもしれない。
私の怒ってる時、楽しんでいる時、哀しんでいる時、喜んでいる時。
それは私以上に、タイプの違う子と交流しているからこそより鮮明に分かるのかもしれない。
…ああ、楽しいな。ひなたやのどかとお友達でいると、まるでプリキュアに変身するみたいに別の自分になれる気がする。

「あ!見て!ちゆちー!校庭に犬が紛れ込んでる!」
「え?まさかまたラテ!?」
「…いや、あれは普通にそこらへんの犬だね。うんことかしなきゃいいけど」
…プリキュアがうんことか言わないの、ひなた。
「でもかわいい〜、大人しそうな子だから飼われてる子かな?またラテの時みたいに探しに行っちゃおうかな〜、うふふ」
「え。ちゆちー。ラテが学校に紛れ込んできた時も拾ってあげたの?」
ああ、そう言えばその時ひなたはまだプリキュアじゃなかったもんね。
「意外だね」
「そうそう、多分次週くらいもラテ、脱走しちゃうんじゃないかしら」
「…じゃなくって、ちゆちー。動物見つけた時、普通に可愛い女の子の反応するんだね。水族館でもクラゲやプルンス見てる時、楽しそうだったし」
にしし、っと。
机に寄り掛かりながらひなたははにかむ。
「楽しいな、これからもちゆちーの色んな側面発見するの、わくわくするねー」
「…うん、ひなた」
「っていうかいつの間に私のこと下の名前で呼ぶようになったの」
「あれ、ホントだ。いつの間に」
「…自覚なかったのね…」
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